☆1:1999年型 PIAGGIO VESPA PX200 FL (ピアジオ ベスパ ピーエックス200 エフエル) のインプレッション
PX200は、元を糺せば今から33年前 (平成22年現在) の1977年・昭和52年に登場したP200 Eから始まり、さほど変化無く、マイナーチェンジを繰り返しながら作られて来たスクーターである (P200
EからPX200 Eへモデルチェンジしたのは1982年・昭和57年) 。換算すると、登場した時代は私が10歳の頃になる。丁度当時、TVの探偵物語と言うドラマで松田優作がP150
Xに乗っているのを見て以来、このスクーターに憧れていた。因みにPX200
FLの生産は1999年〜2000年で、FLはイタリアでの正式名称をPX200
MILLENIUMと言う。PX200 Eからのマイナーチェンジモデルだが、西暦2000年モデルなので (イヤーモデルは前年から作るので)
MILLENIUMとされた。FLは2001年からFL2にマイナーチェンジされてしまい
(FL2はMILLENIUMのメーター周りや灯火類等をドレッシーにした継続販売車で、本国での名称はMILLENIUMのまま) 、僅か2年しか作られておらず、マイナーチェンジ間隔が比較的長いP・PXシリーズの中では意外と希少種だったりする。うちのPXは1999年式の2000年モデル(イヤーモデルは基本前年から発売される為)を1999年7月1日に諸経費込み60万円で新車購入した。2007年、分割ツーリングで沖縄を除く日本の都道府県 (1都1道2府42県) 踏破を済ます。
スクーターと言えばオートマチックのイメージがあるが、PXは手動クラッチの4速マニュアルミッション車。よってAT限定免許では乗れず、走らせるのには少々技術が要る。と言うのはシフトチェンジは左グリップシフトである為、運転の際は左手が大忙しな上に握力が必要。クラッチレバーは大柄な欧州人に合わせて遠く、手の小さい人には握り難い上、左手でクラッチを握りながらシフトチェンジもしなければならず、更にウインカーも左手。しかもウインカースイッチはシフトチェンジする度に位置が変わる(グリップに直付けの為、シフト位置で上下する)ので右左折するのは最初の内とても戸惑うし、下手すると腱鞘炎になるかも。私の手は男の中でも小さい方(Sサイズ)なので、慣れるまでには随分苦労した。しかし、これに慣れてしまえば、乗っている感覚は、スクーターよりもバイクに近い乗り物と言える。因みに、自分がPXを購入した当時はフロントディスクブレーキ車用のパワーレバー(ブレーキレバーやクラッチレバーをショートストロークにしたレバー)がまだ無く、結局そのまま慣れてしまったのだが、現在は6段調整可能なCNCビレットレバー、又はLML・PX用パワーレバーと言う物が最近発売になっており、それを装着すれば手の小さい人でも楽に、そして好みの位置に合わせて左右レバーを握れる様に出来る。参考までに。
乗り心地はソフト志向。中世からの石畳の道路が今尚多いイタリア故にか。シートは適度に柔らかく、座面が広くて角も無く、厚みもたっぷりありクッション性が良い。
お陰で、1日で1,000km近く走ろうが(過去PXにて24時間内で走った最長記録は三重県・千葉県往復1,259km、その次が愛知県・香川県往復
(帰路で岐阜県経由)
996km)、数日を掛けたロングツーリングに出ようが(過去最長は10日間で愛知県から北海道一周3,084km)、それでお尻が痛くなる様な事は無かった。見た目に寄らず(スモールボディーのVESPAと並べると1.5回り程大きく、旧車然とした街乗りスクーターの見た目に騙される)シート高があり、810mmと高い。164.5cmの私の体型では、両足を付くと踵が浮く。背が低い人は最初怖く感じるかもしれないが、重心が低くて軽い車体なので、支え切れずに立ちゴケする様な事は無い。尚、私のPXはサスペンションをスポーツタイプに換えてあるが、ノーマル車のサスペンションは前記の石畳道路に合わせている為こちらもソフト志向で良く動くタイプである。
PX200
FLはその名の通り200ccあるのだが、上記の様に設計年次が古い為、排気量の割りにパワーは無い。昨今の二種原付に毛が生えた程度で、たったの12ps程
(公式スペックは9kw 1kw=1.3596psの為、9kw×1.3596=12.2364ps≒12.2ps)
だ。よって長い上り坂ではパワーを食われ、4速のままでの登坂は難しい場面が多々出て来る。後続車がある場合の登坂路には注意が必要となる。
全くのノーマル仕様で最高速度は110km/h(体重60kg)。但し其処まで出すのには、随分と加速時間を必要とする。無風・平地なら100km/hでの巡航は可能であるが、ちょっとした登坂路や向かい風でスピードが直ぐ落ちる為、平均巡航速度の上限は90km/hと見ていた方が良い。但し、PXのスピードメーターは60km/h辺りが正しくなる様に出来ているのか、それ以上のスピード域では実際より速い方向へ、それ以下の場合は実際より遅い方向へ指針に誤差が出る。そもそもの設計で、スピードメーターの針が0表示にならないし。試しに実験としてPXのスピードメーター100km/h状態時に車
(VOLVO
960)
で併走してもらうと、車の方のスピードメーターは90km/hだった。前記の為、高速道路での走行においてメーター読み80km/h巡航の場合、実際はそれ以下のスピードで、多分75〜6km/h位な為、走行車線を走っていても後続車に遅いと思われ、低速走行車として邪魔にされる素
(高速道路の追い越し車線は100km/h、走行車線は80km/h)
になるかもしれない。よって高速道路をメーター読み90km/hで走行車線を走る分には、PXのパワーにゆとりがあり、他車の邪魔にもなり難いと思う。高速道路を常時追い越し車線側で走りたい場合は、エンジンチューニングをお勧めします。但し、燃費のところで後述の様に燃料タンクの容量も少なく、更にチューニングで燃費が低下した場合、高速道路上でガス欠を引き起こす可能性が大変高くなるので、参考までにロングツーリングで高速道路も使う様な、正に私みたいな方はエンジンにまで手を出さない方が無難だと思う。とその前に、PXで高速を走ると原付に間違われる、止められる、ビックリされる事が多々あるので注意?排気量的にビッグスクーターであっても、実際にはビッグスクーターではないから (また、原付が乗り入れ可能な有料道路の清算所で、原付料金を請求されるのはほぼお約束事。その度にナンバープレートを見てと説明しなければ納得してもらえない事がよくある。間違われたからと言って、PXで原付料金を払って去るのは犯罪ですからしてはダメですよ) 。尚、その様な中で90km/h
以上での加速力は低く、高速道路等で追い越しをするのは難しい。特に大型トラックや大型観光バスを抜こうとすると、真横辺りでトラックやバスの前部が空気を裂いて横へ流れてくる気流に押し返されてしまい、パワーが足りずに抜けなくって、並走状態になってしまう事がある。そんな時に追い越し車線で後続車に追い付かれると、にっちもさっちも
行かなくなって嫌な目に遭ったりしてしまう。そこで色々試したが高速道路上での追い越しは、大型ワンボックス車やトラックに抜かれた後、直ぐ後ろでスリップストリームに入り、引っ張ってもらいながら追い抜く方法がベスト。尚、スリップストリームと言っても、レースの世界の様に殆ど隙間無くピッタリ後ろに付かなくても良い (そんな危ない事は推奨していませんので)
。抜かれたらサッと後ろに入るくらいで、十分引っ張ってもらえる。私のPXは高速走行対策として、純正チャンバーからポリーニ・レーシングチャ
ンバーに変更している。これで最高速度は120km/hのスピードメーターを振り切れる程になった。これなら自力加速での追い越しも可能。
実速で110km/h近くは出ているから。但し大型風防を付けると、ノーマル仕様とほぼ大差ない動力性能に落ちてしまう。
ノーマル車に大型風防を付ける場合は要注意。ポリーニ・チャンバーは、レーシングチャンバーの割には中速からトルクが出ており、4速60km/hで巡航可能。2ストレーシングチャンバーの割りに、発進加速もスカスカ感は無い。ノーマルチャンバーならば4速40km/hで巡航可能である。ポリーニ・レーシングチャンバーは走行約10,000km以降から2013年現在まで使っているが、現在3本目。本体はスチール製であるが、使用していると今の所20,000km程で本体の何処かに穴が開き、排気漏れを起こす。
最初の1本目はそれに気付かずに使用していて、穴が大きくなり過ぎ、走行中にモゲて脱落した。排気音が大きくなって来たら要注意。
→2016年10月、3本目に穴が開いて排気漏れを起こした。次はレオビンチにしようと思ったのだが、2015年で200用は生産中止になり、既に国内・イタリア本国共に在庫なし。また、ポリーニも同様で国内に在庫はなく、ショップに探してもらったところイタリアでまだ在庫を持っている所があったので取り寄せてもらった。ポリーニももう在庫のみの為、今後は入手出来なくなりそう。となると、次は未だ生産しているシトープラスしか選択肢がなくなるかもしれない。ユーロ3の150ccエンジンはシリンダー形状が違う為、150cc用のチャンバーを200ccに流用出来ない事もあり、チャンバーを交換している200ccは純正マフラーを捨てずに取っておくとか、今後の対策を考えておいた方が良いかも。
サスペンションは、うちのは並行輸入車で本国での特装車?だったことから、新車時からビチューボ製ガスショックが付いていた。純正のサスとは違い、とても締め上げられていて、スポーティーに走る事が出来る。50,000km過ぎにへたりからダンピング不足を感じ、同じくビチューボの新品に交換した。新車時に付いていたのは只のガスショックだったが、
現在付けているのはバネレート無段階調整機構付き。最初のショックは前後とも少し硬過ぎる感じの物で、整備の行き届いた路面はとても走り易いが、路面状況が悪いとピョンピョン跳ねる感じ (特に軽いフロントが)
だっ
た。今使っているショックは無段階調整式で好みの硬さに微調整出来る為、軽いフロント側を跳ね過ぎない様良く動く方向で前後比では柔らかめに、重いリヤ側を硬めにして、全体的にはスポーツライクなチョイ硬めで、
路面をどんな状況でもしっかり捉える方向のセッティングにしている。PXのサスペンションは、前後とも片持ち (車体右側) の1本サスである。これは軍用機を作っていたPIAGGIOが、飛行機の引き込み式主脚からヒントを得て採用したと言われている。更にVESPAのエンジンレイアウトは独特で後輪を直接駆動する (ダイレクトトランスミッション)
為、後輪右側面に設置されている。
PXの場合は左側面にスペアタイヤとバッテリーを設置して少しでも重量配分を良くしようとする試みも見られるが、それでも右側が非常に重い
(125cc以下のスモール系は左側に何も無いので、左右の重量配分がPX以上にとても悪い) 。
よって、右にバンクする場合と左るバンクする場合とでは感覚が異なる。慣れるまでは注意が必要。また車体が小さく、ホイールベースが極端に短く、その上小径タイヤである為、旋回性は超クイック。
お陰で街中のUターンは楽勝だが、タイトコーナーではノーズの切れ込みがとても速くて大型バイク乗りから見たらとても怖いかも。また、タイヤのグリップが悪い (タイヤ本来のグリップ不足の場合、滑り易い地面共々)
と、クイック過ぎでスパっと切れたと思ったらフロントタイヤからズルっと滑って逝き易い傾向があるのでお気を付けを。それと極端にホイールベースが短い分直進性が悪く、真っ直ぐ走っていても小径タイヤでそもそもジャイロ効果が薄いのでふらつき易いので、路面状態の悪い場所
(細かな凹凸とか路面を削るレコードライン)
では真っ直ぐ走る事が困難になってしまう事態もあり、こちらも要注意。
ボディーがスチールモノコック構造、つまり外装を含む車体全体が鉄板で出来ている (プラスチックな部分は、メーター周りとホーンカバー位) ので車体は非常に頑丈で、コーナリングでボディーがヨレる様な事は無い。この辺りが「シャーシーのベスパ」
と呼ばれる所以である。元々軍用機を作っていたピアジオの、スチールモノコックボディー製造技術が反映されていると言える。普通バイクやスクーターは鉄のパイプや棒を組み合わせ、そこにプラスチックの外装を付けるのが普通なので、基本ボディーに負荷が掛かると捻じれやヨレが生じ易い。車なら兎も角、国産二輪でスチールモノコック構造車を生産するとコストが掛かり過ぎて高額になり売れなくなるので、未だ日本の労働者賃金が安かった昭和40年代を最後に絶滅している。平成の現代でもスチールモノコックボディーを作り続けているのは、世界でもPIAGGIOのVESPAブランドと、VESPAをまだ労働賃金の安いインドでライセンス生産しているLMLとBAJAJくらいである。
タイヤは純正で、ピレリ(ブラジル製)のSC30を履いていた。約4,000kmで履き潰し、ミシュランS85に交換。私のPX200 FL以降のFL2では、このS85が標準タイヤになっている。双方とも昔ながらの小さなブロックパターンで、グリップはあまり良いとは言えない。また横剛性が弱くて腰が無いので、交差点の右左折でタイヤがヨレて、いきなりズルっと滑る事が多々あった。ある程度元気に走るならば交換がお勧め。前後ローテーションを上手く使えば、8,000km程は使用出来る。その次に履いたのはピレリ
SL26。剛性感がありグリップも安定していてとても走り易いが、前輪と後輪でタイヤパターンが逆の為、前後ローテーション不可。耐久性は5,000km弱。いつもスポーティーに走りたい人には、このSL26がお勧めだと思う。その次に履いたのはミシュラン S1。ぺスパレース等にも使われているタイヤで、剛性感、グリップは非常に良い。但し、このタイヤは他のタイヤと違い強化タイヤでは無く、
特に高速道路を多用する様な走り方をすると3,000km弱で履き潰す。ゴムのコンパウンドがとても柔らかく、まるでレーシングタイヤの様に表面を削りながらグリップしている感じ。夏場にワインディングを走ってくると、タイヤ表面が溶けているのが良く分かる。そもそもS1は、スポーツ原付スクーター (GILERA
RUNNER50とかPEUGEOT SPEED FIGHT50とか) 用。街乗り限定ならば使う価値があるが、ロングツーリングで様々な道路状況の中を走る私の使い方には合わなかった。PX純正サイズの3.50-10は通常50cc原付用タイヤのサイズで、このサイズは普通ロードインデックス51J (ミシュランS1もこれで、最大荷重195kg) となるが、PXは曲がりなりにも200ccで通常の50cc原付に比べ2倍近い出力があるし、車重だって乾燥重量で105kgとこれまた通常の50cc原付に比べて1.5〜2倍重い。だからこそPXはマージンを取った強化タイヤであるロードインデックス59J (最大荷重243kg)
を標準タイヤとしているので、其処の所を良く考えて安いから又は手に入り易いから等の理由で安易にタイヤを選ばないでほしいと思う。特に、私の様に高速道路も走る方は安全面の為にも!普通のバイクのタイヤは主に17〜18インチ。例えば18インチサイズのタイヤが1回転する間に、10インチサイズだと約1.8倍余計に回る事になる (18π÷10π≒1.8)
。と言う事は、同じタイヤ性能であったとしても同じ距離を走った場合、10インチサイズの方が18インチサイズよりも約1.8倍消耗が激しい計算になるのです。なので元々高負荷耐久性を考慮していない原付タイヤにて、
普通のバイクと同じ様に高速道路を走るのは危ないと思いませんか?・・・と実際、私もS1を履
くまでその様な知識が無くて知らずに使用してしまい、余りに減りが早いので色々タイヤの事を調べて初めて知った事なのですが。海外タイヤメーカー (欧州のメーカーのみ、アジアのメーカーは国産と一緒) はPXの為にロードインデックス59Jの強化タイヤを設定をしているが、国産タイヤメーカーの3.50-10は国産スクーターの中で高速道路を走る様な機種に採用されていないので、当然そんな所で使う様な作りではないから全てロードインデックス51Jである。ベスパの専門店等でも普通に国産タイヤや海外産ロードインデックス51Jを勧められたりするが、そう言うのは基本オーナーがPXで高速道路を走らない事を前提にして勧めているか、若しくはそのショップの人がPXでロードインデックス51Jのタイヤを使い、1,000kmも走った事が無いのだろうと思う。経験上、例えば名古屋−東京間を東名高速道路を使い、
90km/h巡航で往復するだけでもロードインデックス51Jのタイヤは劇的に減るので、ある程度使っているタイヤで走ると後でとても心臓に悪い状態を見るか、最悪高速道路上でタイヤバーストするかもしれないのでお気
を付けてと言っておく。参考までに……。それ以降でずっと愛用しているのがミシュラン SM100。
グリップ感はSC30・S85<SM100<SL26・S1と言う感じ。グリップは可もなく不可もなく、レイングリップ性能も入れて不満の無いレベルである。横剛性もしっかりあるし、乗り難さは無い。前後ローテーションを行えば、
耐久性は約10,000km。トータルバランスが良く、私としてはミシュラン SM100が一番お勧めなタイヤと言えるだろう。
尚、タイヤの空気圧だが、マニュアルの空気圧指定はフロント1.3ber、リア1.8ber、二人乗り時2.3berとなっているところ、自分は敢えてフロント1.8ber、リア2.0berに調整している。どちらかと言うと攻めた走りをするタイプなので、全体的に空気圧が低いとタイヤがよれ易く、剛性不足を感じてしまう。また、特にフロントの空気圧が低いと、コーナーや曲がり角で減速してノーズを沈ませた時フロントタイヤが押し潰されてより撓む分接地面積が増える為、地面に掛かる圧力が増します。つまりは、フロント部に抵抗が強く掛かり過ぎるので、その際ステアリングが重く感じてしまう訳だが、自分はそれが嫌なのです。1.3berくらいだと、攻めずに普通に走っている時でも結構フロントが重く感じるくらい抵抗感が出ます。それをグリップ感と捉える人は良いのでしょうが、操縦安定性重視でヒラヒラと軽やかにノーズを回したい自分は敢えて空気圧を上げていると言う次第です。あと、高速道路を走る時も、空気圧は高めの方が良い。10インチの小径タイヤなのでそもそもタイヤ内に入っている空気は少なく、それが更に元から少ない状況だった場合、高速走行をすると普通の18インチ前後のバイクタイヤよりもとても発熱 (スタンディングウェーブ現象)
し易くなります。長距離高速走行をする自分としては発熱によるタイヤバーストの危険は避けたいので、これも空気圧を高めに設定している一因です。
PXのブレーキは元々前後ドラムブレーキであったが、FLからフロントブレーキがグリメカ製のシングルディスクになっている。リアブレーキはドラムタイプ。が、ベスパに合わせてか、
そんなにガッツリと効くタイプではない。
昔からベスパのブレーキは基本リアブレーキが主であり、フロントブレーキは姿勢制御でしかないのだ。丁度普通のバイクならば、フロント:リア=7:3と言われるのが、PXは真逆になる。でもまぁ、ドラムブレーキからディスクブレーキに変わって随分利きが良くなっており、フロントブレーキだけでは心許無いけど、何とかフロントブレーキ
だけでも止まれるくらいの性能にはなった。また、リアのドラムブレーキはとてもコントローラブルで、効きも良い。逆に強く踏み過ぎるとタイヤロックを起こし、盛大にケツを左へ振る (タイヤの滑り方が、シャフトドライブの癖に似ている。機構的にダイレクトトランスミッションって、シャフトドライブの超ショートストローク
バージョンの様な物だし)
のでパニックブレーキは要注意!因みに、これはVESPAのオルガン式リアブレーキ全般に言える事だが、車の様にフロアへ踵を付けて足を置いたままではブレーキを上手く踏む事が出来ない。センタートンネル上に右足の踵を置き、爪先をオルガン式リアブレーキに乗せる様にすると上手く踏める。参考までに。
その他交換・付加部品について言及すると、まずはヘッドライト。標準は白熱球である。これが暗い上、セミシールドビームのレンズカットがイマイチ。また、照射範囲の真ん中が電球によりドーナツ型の影が出来る為に見難く、夜間走行はとても辛い。FLからマイナーチェンジした、PXの最終型
(2007年FL2が生産中止になったPXだが、2011年秋PX
Euro3として復活したので現行車がまだある) であるFL2はマルチリフレクター式になり、バルブもハロゲン球が使用可能になった為、FL2用をFLに移植した。バルブは高効率ハロゲンのM&HマツシマS2スーパークリアを使用。FL2用は照射範囲が広い為、高効率の明るいバルブを使用する事で、とても夜間走行が快適になる。
次に風防を増設。VIGANOを2種類、CUPPINIを1度今までに使用して来たが、CUPPINIは空力が悪く、パワー
ダウンが激しい。現在はVIGANO製を使用。但し、自分の美的感覚から言えば、CUPPINIの方がカッコ良く見える。大型風防はパワーダウンを招くが、ロングツーリングでは体が風圧に晒されず、
体力温存が出来、また冬場の寒さや雨天時にも大きな効果を発揮する。結構お勧め。しかし、霧雨や霧の中では細かい水滴が風防前面に張り付き、
ワイパーが無い為前が見えなくなる。直ぐ止まってタオル等で拭ける場所ならば良いが、高速道路上でこの状態になると非常にキツイ。風防の横に頭を出して前を見ながら走ると言う、
とても辛い体勢になるのでそこだけは要注意。また、フロントが軽過ぎる為高速道路では前部が浮き気味となり、フロントのグリップ感が希薄に感じる事からハンドルが軽くなり過ぎと思ってしまい、ショートホイールベースによる直進性の無さと相まって恐怖感を持つ場合がある。風防を装着していると高速走行の風圧でフロントが押さえつけられ、感覚的に安定傾向となる。但し、向かい風が強風な場合は逆に煽られて不安定になる等両刃の剣。理解した上でお使いを。
プラグは標準が
NGK B6ESであるが、私は基本B7ESを使用。ロングツーリングで高速道路を長距離走るならば6番より7番
の方がエンジンの調子が良い。又、点火系ではプラグコードに東亜システムクリエイトの
ケーブルマスターを増設。ケーブルマスターは下記DNA180にも使用しているが、燃費が大幅に良くなる事と始動性が良くなる。他にサン自動車工業のホットイナズマを使用。バッテリーの持ちが良くなった。
その他増設部品は、FACOバックレスト付リアキャリア、CUPPINIレッグシールドミラー、ハンドルミラー、VIGANO折畳み式
タンデムステッ
プ、樽型グリップ、ホワイト・センタースタンドブーツ、サイドスタンド、日本無線JRM-11ETC車載器。リアキャリアを増設した事により、ロングツーリ
ングでは45Lのカーゴトランクを積む。
尚、リアキャリアを付けると、シートを固定するピンの位置が若干上がり、場合によっては噛み込んでシートが開けられなくなり、最悪給油不能に陥る事がある。取り付けの際には要確認。実際に私は開けられなくなった事があり、留めピンを削る等の加工した。
また、サイドスタンドを付けるとセンタースタンドと干渉する。サイドスタンドを畳んだままセンタースタンドを出し、そのままセンタースタンドを畳むと完全に戻り切らず、少しバンクしただけでセンタースタンドブーツが地面と擦れる。対処法はセンタースタンドを出す時は必ず先にサイドスタンドを出し、それか
らセンタースタンドを掛ける。走り出す時は、センタースタンドを戻してからサイドスタンドを戻す様にする。最初は面倒かもしれないが直ぐ慣れるし、セン
タースタンドのブーツをガリガリ削りたくなければ徹底した方が良い。そもそもこのPXのセンタースタンドブーツを変えた切っ掛けは、最初そう言うのが分からずに峠をガンガン攻めて、思いっきり削れてしまったからだったりする。
ミラーであるが、純正のハンドルミラーは付け根のネジが浅く、振動で折れる。過去2回折れた。その後3本目のミラー装着時に今度は付け根受側のネジがバカになり、ミラー装着不能に。その為ハンドルポストより、汎用ステー
(某ショップがオリジナルでディスクブレーキ装着車用のミラーステーを売っていて、PXファイルにもパーツ紹介されているが、問い合わせた所そのショップのお客にしか売れないと回答された)
で汎用ミラーを増設。元々のミラー穴は、100円ショップで買ったカラーマグネット (白) が丁度ぴったりな大きさだったので、それを接着剤で貼り付けて塞いだ。見た目は良い感じ。レッグシールドミラーは純正ミラーが何時
折れるか分からない為に、保険で付けた。折畳み式タンデムステップは、PXの場合、フロアの最後部がタンデマーの足置き場になっているのだが場所が狭く、一応誰かを乗せる事があるかもしれないと付けてみた。樽型グリップは最初見栄えだけで付けたのだけど、付けてみたら純正のグリップと比べて厚みがあって、樽型なので手の平にフィットして握り易く、とても気に入っている。センタースタンドゴムは純正が黒なのだが、見栄えを考え車体色に合わせてホワイトゴムの物に付け替えてみた。サイドスタンドはやはり有ると便利だしね。ETC車載器は自分の場合PXで高速道路を良く使うし、これを付けていた方が料金的にもお得と言う事で、グローブボックス内の右側面にETC車載器を装着した。受信アンテナは、ホーンカバー内に取り付けている。ちょっとしたモディファイだが、ボディーの大半が鉄板で出来ているPX。グローブボックスの蓋が振動で震え、ボディー側と当たって音を出す事がある。私は100均で買った隙間テープを蓋の内側外周にグルっと貼り付け、ボディー側との隙間を埋める事で振動を抑えている。雨の日の雨漏りも防いでくれるので、結構有効な手段だと自負している。
その他消耗品として、バッテリーを凡そ4年に一度交換。プラグは随時、発火がおかしくなったら交換。プラグについては他のバイクと違いPXはイリジウムプラグと相性が今一つ悪い為、一般的なレジスタープラグを使用している。安いプラグだから
こそ、使い捨て感覚で使っている。ギアオイルは5,000km毎にカストロールGEARBOX
OILで交換。300km時 (新車時ケーブルにグリス注油されていなかった!) と50,000km時にメーターケーブル断線で交換。レギュレーターが40,000km過ぎにパンクし
て交換。因みにレギュレーター、最初通販で6,000円と言う安い物
(台湾製) が出ていたので取り寄せてみたのだが、全く使えなかった。ネットで色々見ると当たりハズレがとても多い様だ。結局純正品のDUCATI製45,000円の物に交換した。60,000km過ぎにウインカーリレーパンクで交換。40,000km時にハンドルベアリング交換。60,000kmでエ
アダクトチューブ割れで交換。72,600kmにセルモーターリレーパンクで交換。50,000km過ぎにリアストップランプカバーが、積載物落下の直撃を受けて割れた為交換。エンジン下からオイルが漏れてきた為、66,400kmでクラッチカバーOリング交換。ブレーキはフロントパットがほぼ20,000km毎、リアドラムシューは40,000kmで交換。クラッチは18,000km毎に交換している。最初20,000km弱時に走行中クラッチが滑って出先で走行不能に陥り大変な目に遭ったので、それ以後余裕を見て18,000kmスパンで交換する様になった。あと、3,000km時に新車時組付け不良でクランク一式交換している。この時は修理代が総額で18万円も掛かり、手痛い出費を食らった。PXを買った店
(東京の悪名高きホ○ラリー) が悪かったなぁ・・・。ベスパに限らずイタ車は本国での組立てが適当な為、納車点検をしっかりやってくれるショップで購入した方が良い。因みに今お付き合いしているショップは、イタリア本国から来た車両を一度ほぼ全バラシして整備している。消耗と言う訳では無いが、
65,500km時に右後部のウインカーが点かなくなり、経年劣化による接点不良と言う事で、磨いて接点復活材を掛けて修理した。経年劣化でプラスチックが脆くなって来たのか、
72,500km時にヘッドライトバルブが切れて交換した際、メーターカバーを取り外したらネジ4本で止まっている内の1つのプラスチック台座が割れてしまった。取敢えず今は残りの3本で固定しているが、もしもう1箇所割れる様な事があったらメーターカバーを交換せざるを得ないだろうな。
最後に、2スト単気筒で200ccと言う事もあり、強烈に振動が強いス
クーターなので、ナンバーのネジが緩んで走行中に脱落し、再交付になった事がある。各部ネジの緩みには注意が必要。また、振動からと言う訳ではないが、
10,000〜20,000kmで後輪のセンターナットが緩み、後輪がガタ付く。普段は後輪のセンターナットを凡そ15,000kmくらいで増し締めしているのだが、つい忘れたまま長距離を走って、
69,780km時に出先で走れなくなってしまった。症状としては全くギアチェンジが出来なくなり、1〜4速までまるでワイヤーが切れたかの様に抵抗無く
スルッッと動いてしまう。また、後
輪が引っ掛かった様になり、まるでパンクした時の様に抵抗が掛かって押し歩けなくなる。最初この症状が何故だか分からず、結局その際はJAFのお世話になり、PXを運んでもらった。バイク屋で見てもらったところ、セ
ンターナットが緩み過ぎてホイールが斜めに傾き、ギアチェンジワイヤーに干渉していた為と判明した。何時緩んでくるか分からないので、時々後輪を左右に揺
すって確かめてみて下さいね。
エンジンは2ストロークエンジンの為、耐久性が低いと思われがちだがとても丈夫で、購入時から2016年1月1日現在までに73,575kmとなったがノンオーバーホールでノントラブル。性能落ちも無く、快調である。そもそも最大で6,000回転程しか回らないエンジンであり、また設計年次が古く、最新エンジンの様に軽量化で肉厚を削ぎ落としたりしていない為、消耗が少ないのではないかと思われる。
オイルはカストロール・アクティブ2Tを使用。また2回に1度の割合でスーパーゾイルを添加 (走行45,000kmを越えて以降)
している。因みに他の2ストローク愛機には1Lで4,000円以上する高級オイルを使っているのにPXには1L1,000円チョットのオイルなのかと言うと、他の2機は超高回転型エンジン
(最大でSENDA:17,000rpm / RS:12,000rpm+@)
な上、走る時は1度にロングランするのでエンジン保護の為により良いオイルを使いたいと言う意味がある。それと1Lで走れる距離がRSで2倍、SENDAでは6倍近く走れるので、この2機分とPXで消費するオイルを金銭的に比べるとそんなに変わらなくもなるし、消費量が少ない分出先でオイルが無くなって困ると言う心配も無い
(リザーブ分で走れる距離も長いし) 。逆にPXの場合、前記の様にノーマルエンジンならばそもそも高回転まで回るエンジンでは無いので、余りに高性能なオイルを使うのは勿体無いと思う。
まぁ、余り安いオイルを使うのはお勧めしないが、長く大事に使うのならば、オイルメーカー各社の中間的グレードな2ストオイルで良いと考える。事実、新車から今までそれで問題なく来ているのだから。そこで自分が白羽の矢を立てたのが、カストロール・アクティブ2Tだった。自分はロングツーリングによく行き、その際は予備に1〜2本くらいは同オイルを積んで出向くのだが、それでも出先で使い切ってしまう事がたまに有った。となると、出先で手に入り易いオイルが良い訳で。そこで、大体何処のホームセンターでも手に入るカストロール・アクティブ2T (※低粘度なRide! 2TやGO
2T等原付用ではないのでお間違いなく) を選んだ。バイク屋でも、国産純正オイル以外で置いてある場合が多く、今までに入手で苦労した事は無い。ちなみに、このオイルで高速道路を一気に長距離走っても
(津→松江、津→千葉、金沢→山形、日立南太田→小牧東等)
、シリンダーが焼付いた事は一度も無い。PXは分離給油方式なのに、焼き付き防止の名目でガソリンタンクにもオイルを混合給油する人をよく見掛けるし、それを推奨する人もよく見掛ける。でも自分の経験上、PXって元々焼き付き防止で余裕を持たせ、少し濃い目にミキシングをセッティングしてあると思う。その為か、混合給油をする事でオイルが過剰給油となってプラグを被り気味にさせ、エンジンの吹けが悪くなっているPXを見る事がある。高回転型じゃないPXのエンジンで焼き付きを心配するのであれば、混合率を上げるよりもオイルを入れ忘れて切らさない事に注意し、超安物の粗悪品や原付用の柔らか過ぎるオイルを使わなければ事足りる。ボアアップなどをしていてエンジン回転数を大きく引き上げたチューニング車両以外、オイルの過剰給油に意味はない。1L給油でオイル点検窓に気泡が出て、補給を促すまでに約700km走行可能である。結構オイル消費は大目。ロングツーリング時には、予備オイル携行必修。オイルタンク容量は1.5Lなので、満タン給油で約1,000km強。但し、リザーブ分が結構あり、気泡が出てから400km前後は何とか走れる。尚、今は長距離ツーリングで高速道路を使うケースがなくなった為か、後述の通り平均1,000kmで1Lの消費ペースとなっている。あとオイル話ついでに、1度入れだしたオイルは、生産中止になって手に入らなくなるまでは同じ物を使い続けた方が良いと考える。それはやはりオイルは製造メーカーによって、例えベースオイルが同じだとしても添加剤等の配合に違いが出る。各メーカーにより製法の違いもあるし、同じメーカーでも価格の違いで添加物は必ず違いが出るから。なので、オイルは他の銘柄と混ぜないのが一番良い。特に4ストと違い継ぎ足していく2ストオイルは、もし銘柄を変える場合は石油ポンプ等で残存オイルを出来る限り吸い出すか、オイルタンクが外せる場合は取り外して中身を出し切った後に入れ替えするのをお勧めしたい。こう言う物は、まずブレンドして良い方向には絶対行かないもの。逆に性能劣化を起こす方が殆どです。
燃費はこれまでの平均で24km/L。但し50,000kmを境に燃費が伸びており、ここ最近は平均で26km/L。50,000km以前は21km/L前後。パワーが無いので、高速道路を多用すると燃費が結構落ちる。下道のみならば、最近は30km/Lに届く事も多々ある
(使用条件で燃費の上下が激しい) 。これくらい燃費が伸びれば、オイル1Lで1,000km前後走行可能。なので最近は、大体1,000km前後でオイルを補充している。
尚、ガソリンタンク容量は満タンで8L
(内リザーブ2L) の為、高速道路に乗る時はガス欠に注意。大動脈から支線へ入る際のSA、例えば東名から東海環状道や中国道から米子道とか、中央道から長野道等の場合は次のSAまでの距離が通常のSA間隔 (約50km)
より相当伸びる場合があり、途中ガス欠した事が今までにも多々あった。私はPXで高速道路を使ったロングツーリングに出る際、ガス欠に備えてガソリン携行缶に1L〜2L予備ガソリンを入れて持って行っている。キャンプ用として売られている1L携行缶が、PXのグローブ
ボックスにも入れ易く便利
(今持っているのはOPTIMUSフューエルグリーン1.5LとMSR
30ozなのだが、1.5L缶はフロントトランクに入れられるものの、スペースギリギリの為出し入れし難い)
。尚、携行缶は安全上サイズよりも、実際に入れる量を少なくする様に指示されている。なので、自分の1.5L缶だと実際は1.1Lしか入れられないし、1L缶は887mlしか入らない。因って、予備ガスを入れた時の最大航続距離予想は、普段の燃費計算上より少し差し引かないとまたガス欠させる元になるので注意が必要となる。参考までに。尚、ガソリンは新車時からずっとハイオクを使用している。本来はレギュラーガソリン仕様だが、日本のレギュラーガソリンが大体90〜92オクタンなのに対してヨーロッパは95オクタン。JIS規格上では89オクタン以上となっている為、無印GSでは安いけど、低いオクタン価のレギュラーガソリンを販売している場合もあったりする。その様なガソリンだと本来の性能を発揮出来ない為、敢えてハイオクガソリンを使っている。
◎オーナーの一口インプレッション
今でも普通に使えるお洒落で実用的な化石スクーター!
※私のインプレッションの他に、Mr.Bike BG 2011年6月号 濱矢フミヲ マニアックバイクコレクションNOW
No.011にも取材を受けた本機のインプレッションが掲載されているので、参照出来ればどうぞ。
最後にベスパは車名であり、社名ではない。社名はピアジオ。 ベスパとは、イタリア語で『スズメバチ』の意である。
PIAGGIOの歴史についてはこちら→☆
CATALOG SPEC DATA/PIAGGIO VESPA
PX200 FL
・エンジン形式 空冷2ストロークロータリーバルブ3ジェットポート単気筒
・型式名 VSX1T
・総排気量 197.97cc
・ボア×ストローク 66.5mm×57mm
・最大出力 9kw/5,700rpm
・圧縮比 未公表
・CARBURETOR DELLORTO(SPACO OEM) SI24/24E
・トランスミッション 4速コンスタントメッシュギアグリップコントロール
・全長 1,810mm
・全幅 740mm
・ホイールベース 1,260mm
・シート高 810mm
・乾燥重量 105kg
・燃料容量 8L
・オイル容量 1.5L
・ブレーキ前輪 200mmシングルディスク
・ブレーキ後輪 150mmドラム
・前輪タイヤサイズ 3.5-10
・後輪タイヤサイズ 3.5-10
☆2:2002年型 GILERA
DNA180 (ジレラ ディーエヌエー180) のインプレッション
DNA180は、エンジンこそ同社のスクーターであるGILERA
RUNNER VXR180からの転用なのだが、車体はバイクと同じ構成をしているCVTオートマチック・バイクである。1999年ミラノショーでデビューした。本邦には2001年から輸入開始される。しかしオートマチックに違和感を感じる人が多かったのか本国でも人気が出ず(ヨーロッパでは、現在でも車ですらMT車比率が日本と比べてもかなり高い)、2003年夏には生産中止となり、短命モデルになってしまった (但しブルガリアとドイツでは何故か人気があり、"50ccモデル"だけだが08〜09年頃までラインナップされていた)
。逆に日本ではオートバイ雑誌にはスクーターと取られて相手にされず、スクーター雑誌からはオートバイと取られてこちらでもまた相手にされず、私の知る限りデビュー当時、小さな紹介記事がバイク系(オートバイ誌)・スクーター系(スクーターファン誌)各1誌に1回づつだけ載ったきりであり、しかも試乗・性能評価記事等は一切無かった。自分は、先に掲載されたスクーターファン誌の紹介記事に載るDNA180のスタイリングに一目惚れし、これを買おうと決めた。因みにその他のDNA180に掛かる雑誌掲載は、絶版前に一度だけ私のツーリングレポートがジパングツーリング誌に、当時のオーナーズクラブ代表の愛車レポがモーターサイクル誌に、絶版後に私のツーリングレポートがスクーターファン誌に5回、うちのDNAの試乗・性能評価記事がMr.Bike誌に1度
(後にも先にも雑誌記者による試乗レポート記事はこれだけ) 、後はモンドスクート誌にオーナズクラブの関東メンバーが1回と、
スクーターファン誌にスクーターレースに出場していたオーナーズクラブメンバーが時々載るくらいしか無かったと思う。掲載雑誌自体がバイク誌の中でもマイナーなので、見た事のある人はとても少ないだろう。その後スクーターファン誌廃刊で、久しくDNA180は雑誌掲載され無かったが、2011年オートバイ誌にスピード記録で久々にオーナーズクラブメンバーのフルチューンDNAが出る。他に雑誌内では、滅多に見掛け無い当時の"PIAGGIO広告ページ"が載っていればVESPAやRUNNERと一緒にラインナップ紹介されているくらい。なので当時、DNA180は全く知名度が無く、知る人ぞ知ると言う機種
(現在も? ) であったのだ。もっと紹介されていればきっと売れたと思うのだが、不運としか言い様が無い。日本では2005年からバイクにもAT免許が導入され、ビッグスクーターブームが訪れたが、ほんの少し生まれるのが早かったなと思う。もしブームの真っ最中にDNA180が現役だったなら、きっと雑誌にもAT限定免許で乗れるバイクとしてもっと取り上げられ、大人気になれたと思っている。尚、DNA180は日本国内には正規輸入120台・並
行輸入30台併せて150台しか入って来ていない稀少車で
(ヤマハがPIAGGIOブランドで輸入したDNA50は資料が無いので分かりません。DNA180よりは多い台数が輸入された模様。DNA125は並行輸入で3台+αと言われている) 、うちのは2002年モデルを2003年1月26日に諸経費込み55万円で新車購入。2005年、分割ツーリングで沖縄を除く日本の都道府県 (1都1道2府42県) 踏破を済ます。
※最近各所で、このHPの情報を間違って取られている誤った輸入台数の伝聞を多数見受けます。国内150台はDNA180の台数です。DNA50、125は含まれておりません!DNA50の台数は分かりません!DNA50の輸入台数を知りたいならば、誰か50に乗っている方で、輸入元のブレストコーポレーション又はYSPにお問い合わせた上で、正確な数字を広めて下さいませんかね?兎に角他者にここの内容を広める際は、本文の内容をよく確認、理解した上でお願いします!!!
DNA180はオートマチックスクーターと駆動系・操作系共に中身は一緒なので、バイクながら
(私の解釈では足を「フロア」に乗せニーグリップ出来ないタイプがスクーター、足を「ステップ」に乗せニーグリップするタイプはバイク) 前述の様にAT限定免許でも乗る事が出来る。足元はステップのみで、前後ブレーキはハンドルに付いている。ボディーはカウル付き
(ヘッドライトカウルとボディーカウルからなるセパレート)
のストリートファイター仕様。DNAの後から発売されたカワサキ・Z1000は造型が良く似ており、発売当初はパクったか?と思った程。但し、DNAのデザインは面の曲線造型が美しくイタリアら
しい女性的な雰囲気を醸し出すのに対し、Z1000は面の造型が直線的で男カワサキらしさを出している。ボディーサイズはほぼ125ccクラスである
(本国での販売メインは125cc) が、車体の横幅が広く、タイヤも車体の割りに前後共に極太なので見た目に小ささは感じない。
パッと見には250ccクラスに見える。因みにDNAシリーズ180、125、50の外装カウルは共通で、ボディーサイズもほぼ一緒。なので
DNA125を標準として、DNA180ならばボディーに対して強力なエンジンを載せていると言えるし、DNA50は車格以上のボディーを持っているとも言
える。通常のガソリンタンク位置にある物はダミーで、メットイン構造になっている。ダミータンクは樹脂製で、フルフェイスヘルメット1個が入る大きさの容量がある。要するに、SUZUKIのストリートマジック+GSX250F
ACROSS÷2と言った感じのバイクだ。因みにDNAのコンセプトを受け継ぐバイクとし
て2011年現在、同じPIAGGIOグループのAPRILIAよりMANA850と言うバイクが存在している。オートマチックでヘルメットが入るダミータンクを有し、車体はネイキッドモデルとGTモデルがある。但しエンジンが名前の通り850ccあり、残念ながら日本のAT大型二輪免許では乗る事が出来ない (650ccまで) 。そもそもこのエンジン、PIAGGIOがDNAの後継拡大版として開発していたGILERA
FERROに載せる為に作ったバイク用オートマチックエンジンだったのだが、丁度その頃APRILIAがPIAGGIOの傘下に入った際に、傘下各社が競合しない様GILERAはスポーツスクーターブランド、
APRILIAはスポーツバイクブランドに特化 (PIAGGIOは実用スクーターブランド (その中でもVESPAは、また更に車名ながら単独ブランド扱い)
MOTO
GUZZIは実用バイクブランド、DERBIは250cc以下の機種全般を手掛け、その他の手持ちブランドは休眠中で整理されている。しかし人気車種については傘下内各社で競合もあり、その場合は傘下内でその車種の主力メーカーがOEMで他ブランドへ供給する。例えば'07以降のAPRILIA
RS50はDERBI GPR50のOEMであったり、GILERA SC125はDERBI GPR125のOEM、APRILIA RS4 125はDERBI GPR125
4T 4VのOEM、APRILIA SR MAX 300はGILERA
NEXUS
300のOEM) され、オートマチックとは言えバイク用エンジンの為、APRILIAのバイクに載せてこの世に出て来た経緯がある。よってエンジンはPIAGGIO製。何にせよ今後、DNAの様に中型免許で乗れる後継機種の復活を切に希望したい!
ガソリンタンクはダミータンクの下にあり、給油口はダミータンク内の一番シート側にある。ガソリンタ
ンクは樹脂製の為、タンク内が錆びる心配は無い。尚、給油の際の注意点として、給油口が狭く、
給油ノズルを入れると、中が見えない。給油の際には、ガソリンをこぼさない様に注意する必要がある。自分の場合はなるべくセルフスタンドで
自身の手で給油する様にし、一般のスタンドに入った場合は給油ノズルを口元まで上げさせて、ゆっくり中を見ながら入れる様念を押す。因みにタンク容量は10Lで、その内リザーブ分が3Lある。
ライディングポジションはハンドル位置が低いので、結構前傾となる。身長164.5cmの私でさえ結構な前傾姿勢となるため、
長身者は更にきつく感じるだろう。但し、元々大柄な欧州人でも乗れる様に作ってあるので、
ハンドル幅はセパハンとしてはかなり広く、ステップは5段階調整が出来る。ステップ位置を最低か下から2段目辺りに設定すれば、上半身の前傾姿勢以外は結構ゆったりとしたポジションが取れる筈。私はロングツーリングでの使用が多いので、
通常ステップを下から2段目にして使用している。尚、3〜5段目にした場合、
コーナーでバンクさせるとステップのバンクセンサーよりも先に、センタースタンドが接地してしまう。私は下から3段目にしていて、センター
スタンドで路面をカジってスリップダウンした事があった。バックステップとして使用する際は、センタースタンドを取り外す必要あり。サイドスタンドはスプリングによる自動収納式である。サイドスタンドを出したらしっかり接地させないと、スタンドが自動で戻ってしまってそのままバイクを倒しかねない
(通称:自殺スタンドと呼ばれている) ので、慣れるまでは要注意。逆に慣れてしまえば戻し忘れる事が無く、これはこれで便利である。
シート高はカタログスペックで780mmとさほど高くは無いが、シート幅が広く、実際の足付き性はシート高810mmのPXよりも若干高く感じる。シートは座面が広いが形状が秀逸で、角がエラを張る感じも無く、股の辺りの絞込み造形も絶妙で足は楽に下ろせる。またシートはクッションがしっかりしていて硬めであるが、座面が広い為体重が分散し、長距離・長時間乗ってもお
尻が痛くなる様な事は無い (1度のロングツーリングで過去最長は7日間で三重県から東北一
周3,046.9km) 。タンデムシートはスペースが狭く、タンデムステップが高い位置にあるし、タンデムグリップの位置も悪いのでタンデマーのポジションは結構窮屈になる。乗った感じはレーサーレプリカの段付き型タンデムシー
トに座った時の様で、基本的に短距離か緊急用と考えた方が良く、長距離 (又はツーリング) の二人乗りには余り適さないと思う。
メーターはアナログ式タコメーターと、デジタルマルチ表示スピードメーターの2眼。気密性が良くないのか、冬場や雨の日はレンズが曇る。タコメーターは13,000回転まで表示出来る様になっているが、レッドゾーンの表示が無い。実際に使用すると、10,000回転以上でタコメーターの針が大きく振れ出す。この状態がレッドゾーン突入を意味し、且つ、ここでレブリミッターが働
く。うちのDNAは走行20,000kmを越えた辺りで、タコメーターの針が異常上昇する症状を起こした。長らく原因不明であったが、レブリミッター解除用に取り付けたマロッシ製レーシングCDIに換えた所、症状が出なくなった。純正CDI不調が原因であったと推測される。レーシングCDIにするとレブリミッターはカットされ、10,000回転以上のタコメーターダンスも無くなるが、11,500回転で頭打ちとなる。長時間のオーバーレブは要注意。尚、ここまで回して過去最高速は
135km/h (体重60kg) 。因みに、ノーマルCDIだと過去最高は129km/h、カタログスペックは118km/h。
足回りは、フロントフォーク、リアサスペンション (ツインショック・バネレート4段調整)
共にセバック製。ブレーキシステムはブレンボ製。フロントは硬からず柔らかからずで良く粘るネコ足属性。エンジンがスクーター用で車体に対して後方にあり、重量配分的に後ろ加重がナチュラルに掛かる。よってリアサスのレートを硬めにセッティングした方が、後ろからの押し出し感があり、旋回はし易くなると思う。因みに、私は硬い方から2段目にしている。車体がコンパクトで且つ前後タイヤが14インチの為、どちらかと言えばセルフステアリングが掛かり易くスパっと切れ込む様に曲がる。
余りバンクさせないでもクルっとコーナーを曲がれてしまう性格なので、一般道で膝を擦る様なハングオンは難しい。サーキット等の大きめなRのコーナーなら可能だろうが。実際、Mr.バイク誌に取材を受けた時も、ライター濱矢氏がフルバンク写真を撮ろうとして、中々車体を寝かせられずに困っていた。バンクさせられる超タイトコーナー
(結局キツイRのヘアピンコーナーを見付けた) を探して、山の中を彼方此方探し回ったのはイイ思い出。
タイヤは、標準が台湾製MAXXISで、フロント120/70-14、リア140/60-14を履く。先にも述べたがこのクラスの車体に付くタイヤとしては、前後とも「極太」と言って良いと思う。標準のMAXXISはグリップが良く、横のエラが張っていて、楽にエッジを使ってクルンと向きが変えられるので、ワインディング走行がし易い。但し耐久性は余り無く、
リアが12,000km、フロントも15,000kmで使い切る。ちなみにMAXXISは現在このサイズセットの製造を中止しているので、使い切った後に同じタイヤを履く事は出来ない (リアのみサイズがあり)
。現在国内で手に入る、同サイズのラインナップがあるメーカーはミシュラン、ピレリ、エイボン (2011年よりメッツラーが増えた)
のみである。うちのDNAはMAXXISの後、ミシュラン・ゴールドスタンダードを履かせている。ゴールドスタンダードはグリップもソコソコに良く、耐久性はリアで20,000km強、フロントならば30,000km強もつ。難点はタイヤ横のエラが張っておらず、バンクさせると何処までも倒れ込んで行く感じ。しかも横端を使い切る前にステップが接地してしまうので、サイドエッジを使えない。フロントがコーナーで切れ込んで行く時に、サイドエッジが使えない為にリアタイヤの接地感が乏しいので、ブレーキングを上手く使ってリア荷重をしっかり掛けないと不安感が湧く。その為、細かいジムカーナ的なコーナーは得意だが、高速Rなサーキットコーナーは不得手な性格だと思う。オーナーズクラブではサーキットを走る走り屋さんが多いからか余り評判が宜しくなかったが、まぁこのタイヤは基本的にツーリングタイヤなのでそう考えればとても幅広く使えるし、操作性に軽快感があって良いタイヤであるし、自分的にはこの性格は好みでもある。平成23年76,700kmでとうとうフロント2セット目、リア3セット目のゴールドスタンダードを履き潰したのだ
が、前年に同タイヤが絶版となっており (因みにタイ製のVee
RubberでVRM-319と言うゴールドスタンダードのパクリパターンで使えるサイズがあるのを2011年発見しましたけど、
後述のSENDA純正に付いていたVee
Rubberの性能から鑑みて、MAXXISよりも性能は落ちるんじゃないかと考える。しかも何と、後述するピレリのディアブロ・スクーターのパクリパターンで同サイズもVRM-342として現在ラインナップしている!)
、ミシュランの後継タイヤであるシティー・グリップはゴールドスタンダードと比べ街中での使用感をかなり高めた為にゴム質が
相当柔らかく
なり、雨天のグリップはとても良くなっているのだが、耐久性を考えるとツーリング向きとは言い難くなってしまった。そこで今回は、ピレリの
ディアブロ・スクーターをチョイスした。ツーリング系では無くハイグリップ系スポーツタイヤである
(メーカーサイトでは耐摩耗性も重視したタイヤだそうだ) が、ゴムが硬く、ブロックパターンも広いので、その分耐久性が高いかな?と。ディアブロ・スクーターはタイヤサイドのエラが張っていて、MAXXISに形状は劇似している。乗った感じは、タイヤの幅が広くてドシっとした感じ。
MAXXISよりグリップが良い性か、更に重いと言うか、安定感がある。ゴールドスタンダードはヒラヒラと軽快でフロントがセルフステアリングで切れ込み、それに伴って瞬間的に短く深くバンクさせる様に持って行きクイックに曲がるタイプであるが、ディアブロ・スクーターはMAXXISと同じくセルフステアリングによる倒れ込みだけに頼らず、体重移動とスロットル操作でリアタイヤに強く加重を掛け、サイドエッジを使って車体を強引に回し込むタイプ。MAXXISよりも軽快感が無く操舵が重めなので、サイドエッジを使うには意識して強めの操作をした方が上手く嵌まる様だ。で、エッジが掛かればグ
リップが良い分、MAXXISより回頭性が更に良い感じ。リアから強いグリップで押し出される感覚がする。尚、ディアブロ・スクーターは平成23年で絶版との情報があり、これを履き潰した場合は又銘柄を変える必要に迫られる
(→絶版したのはリア用140/70
-14でした。DNA50組には残念な結果ですが、DNA180組は助かった!) 。ディアブロ・スクーターの耐久性等、その他詳しいインプレッションについては追々記載する。2011年現在使用可能な銘柄は次の通り。ピレリ : デアブロ・スクーター、ミシュラン
: シティー・グリップ、エイボン : バイパー・ストライクAM63、メッツラー :
フィールフリー、フィールフリー・ウィンテック、コンチネンタル : コンチウィスト。国産メーカー各社は、フロントタイヤしか使えるサイズが無い。
エンジンはピアジオ製リーダー182cc。このエンジンは前記の通りRUNNERにも搭載されており、同クラスでは世界最強のエ
ンジン。この頃製造されていた国産250ccエンジンが20psであったが、このエンジンは僅か182ccで20.4ps
(世間では20psと言われているが、正確にはカタログスペックはkw表記で15kw。1kw=1.3596psの為、15kw×1.3596=
20.394ps≒20.4psとなる) を搾り出すハイチューンエンジン。また国産250ccが
軒並み乾燥重量150kg以上あるのに対して、DNAは僅か125kg。パワーウエイトレシオ6.13kg/psと、同クラス世界第2位
(1位は更に軽い115kgのRUNNER) 。軽さを生かして、ダッシュは強力。最新
の250ccスクーターにも発進加速では負けない。ちなみにこのエンジン、小型高出力が災いしてか、発熱量が大きく、
夏場は
ちょっとした渋滞にでも巻き込まれると、水温計があっと言う間に上まで上がり、気付かないとオーバーヒートを起こす。ラジエターにはサーモスタットとクーリングファンが付いているのだが、渋滞時の極低速域では完全に管理し切れるだけの冷却能力が無いと言うか、それ程発熱する。40km/h以上で走って
風を当ててさえいれば、ラジエター本体の放熱能力は高いので支障は無い。
逆に、冬場や雨の日はオーバークール気味になる。また、放熱が良くて足首辺りに高温の熱気が出る為、ビニールやナイロン素材のレインコート、オーバーパンツが溶ける事がある (特に右足側の脹脛から踝辺り)
。パンツ類は難燃素材製を推奨する。
実用燃費は初期が24km/L。10,000kmを過ぎた頃から26km/L台で推移していたが、50,000kmを越えた頃から驚く程良くなり、現在は平均で30km/L強走る。特に良い時は35km/L前後まで
伸びる。ちなみに過去最高は、日帰りツーにて209.5km走って5.53L給油したので37.88km/Lです。しかもこの記録は、走行距離
78,000kmを超えてから出た。走れば走る程良くなる、酔拳みたいなエンジンです。尚、ガソリンは新車時からずっとハイオクを使用している。本来はレギュラーガソリン仕様だが、日本のレギュラーガソリンが大体90〜92オクタンなのに対してヨーロッパは95オクタン。JIS規格上では89オクタン以上となっている為、無印GSでは安いけど、低いオクタン価のレギュラーガソリンを販売している場合もあったりする。その様なガソリンだと本来の性能を発揮出来ない為、敢えてハイオクガソリンを使っている。
オイルはモチュー
ル・スクーターパワーLE5W-40使用。20,000kmに一度、スーパーゾイルを添加
(走行20,000km越えて以降) している。
エンジンの耐久性は非常に良く、2016年1月1日現在84,212kmを走行したが、20,000km時点にエンジン以外のトラブルにより、シリンダーヘッドを交換した際ついでにピストンリングを交換した以降、ノーメンテナンスであるが今の所ノントラブルで、パワーダウンも無い。軽々と100,000km走れそうである。
消耗品&修理はほぼ2年に一度、フロントフォークのダストブーツが破れるので交換 (その際にフォークオイルも併せて交換)
。ほぼ3年に一度、プラグキャップが壊れるので交換。3〜4年に一度バッテリー交換 (最終交換は81,736km)
。プラグは10,000km毎、オイル交換は5,000km毎、ギアオイルは20,000km毎、ブレーキパットはフロントがほぼ30,000km毎、リアが40,000km時、CVTベルトとウエイトローラーは15,000km毎で交換 (最終交換は68,885km)
。最初ウエイトローラーを無交換にしていたら、20,000kmでウエイトローラーが破損し、中身の芯が飛び出してドライブプーリー内を削ってしまい、一式
交換で手痛い出費となったので、15,000kmスパンで換える様になった。30,000kmでフロントホイールベアリング破損により交換。40,000kmでラジエターサブタンク破損により交換。45,000kmでリアサスダンパーがへたったので交換。50,000kmでウォーターポンプ破損により交換。小さい電球がチョクチョク切れる。特にリアのテールランプ球と、タコメーター照明球。他には振動で各種ネジが緩んで抜ける。特に良く抜けるのが、リアフェンダーを固定しているネジ。また、20,000km時に、走行中スイングアームを固定するナットが外れてボルトが抜けかかり、車体が真ん中からくの字に曲がって死にそうな目に遭った。ロングツーリング前には、各種ネジの緩みを要点検推奨。68,000kmで特に支障は無かったのだが、念の為にセンタース
プリングを交換している。72,000kmで、洗浄しながら繰り返し使用してきたマロッシのレッドスポンジが流石に古くなったので交換した。77,153kmにてブレーキレバーのブレーキランプスイッチとレバーの当たり面が磨耗し、レバーのスイッチングに遊びが出来てしまいブレーキランプが点きっ放しになった為、ブレーキランプスイッチを絞め込んで1mm突き出すと共にブレーキレバーの当たり面にマグネットシートを貼り付けて遊びを減らし、ブレーキランプが切れる様に調整した。78,910kmにてインテーク
マニホールドが割れて、空気を吸い過ぎアイドリングが出来なくなり交換。しかし、インテークマニホールドがサードパーティー製だった為か直ぐに不調となって同じ症状が出始めたので、
80,460kmでガソリンリザーバータンク (通称:胃袋)
下のフューエルホースに亀裂が出来て、ガソリン漏れを起こしたのでホースを交換したのを機に、純正品のインテークマニホールドと交換した。82,655kmでオーバークール症状が発生し、サーモスタットを交換。83,380kmでヘッドライトリレー
(ロー側)
がパンクしたので交換。84.343kmでクラッチのトルクカムに繋がっている筒が割れてトルクカムが引っ掛かり、クラッチが切れなくなった為交換。
ちなみにバッテリーは消耗が激しくなると、補充電する事によって例えエンジンを掛ける事が出来ていてもメーター表示に
影響が出捲くる (エンジンを掛けた際に時計がAM0:00になる、トリップメーターが0kmにリセットされる、走行中ガソリンの残存量表示が突然0表示になるなど不安定になる) ので、その様な状態になった場合は充電による再使用を諦めて交換した方が良い。
付加部品について、排気系はマフラーの手前排気管にパワーアクセレーター、点火系ではプラグコードに東亜システムクリエイトのケーブルマスターと、ト
リックスターPPSスクーターVerを増設。2009年のGILERA
GP800&FUOCO500ie・100周年記念限定車用100周年エンブレムをヘッドカウルに装着。プラグはデンソー・イリジウムIU-27
使用 (NGK9番相当・標準は8番)
。エアフィルターを、マロッシのレッドスポンジに変更。ブレーキレバーにPOSHレバーグリップスを装着。ナンバープレートにPOSHアルミツーリング
バー (レッド)
装着。高速道路走行用に日本無線JRM-11ETC車載器装着。
ツーリングでの積載量はダミータンクに約10L
(但し直下にラジエターサブタンクがあり、その熱が伝わってダミータ
ンク内が高温になる為、熱に弱い物は入れられない)
、
タンクバッグに2L (最大6L) 、サイドバッグが28L
(最大32L) 。更にリアシートにシートバッグを積めば45L追加出来る。今までにフル積載で、115L程積んで走った事もある。
購入から13年と11ヶ月となった2017年の元旦。初詣&初走
行で自宅を出、約10kmほど走った場所にて急カーブの中、センターラインオーバーで対
向車線にはみ出して来た乗用車と正面衝突。ショップから修復不能・全損と判断され、実走85,688kmで廃車となった。偶々お世話になっているバイク
ショップにて中古・不動のDNA180(24,005km走行車)が入荷したので整備して、2017年3月3日より乗り換える。購入、並びにレストア費用
は約50万円。
二代目はこれまでの先代オーナー達
により色
々手を加えられており、ブレーキマスターシリンダーをR/L NISSIN
1/2(スカイウェーブ650用)、フロントサスペンションのインナーチューブをCBR250用、スプリングをNSRmini
10%強化スプリング、イニシャルアジャスターをMC17(ジェイド&CBR250)用、リアサスペンションをGAZI モンキー・ゴリラ
ロングスイングアーム用 H100 D-350、マフラーをLeovince 4Road GILERA
RUNNER用へと変更されていた。また、サイドミラーを擦り抜けし易い様、足の短い汎用品(角型)へ交換。シート表皮をノンスリップ加工し、シートスポ
ンジも柔らかめの物に変更。フロントマスクには、ロングスクリーンが装着されていた。しかし、私はロングスクリーンは目の前近くにスクリーンの先端がチラ
チラするのが鬱陶しいと感じた為取り外し、ミラーも足が短い物は後方を確認し辛いと感じた為純正(新品)に交換。このDNAは転倒させた事があるらしく、
全体的に傷が多く、特にフロントマスク側面からヘッドライトに深い傷があった。バイクもやっぱり顔が命だと思い、一式を新品に交換。ステッカーの剥がれ、
傷による欠けが多々あったのだが、左右のサイドカウルとフロントフェンダーは偶々先代DNAのカウルが事故の影響もなく綺麗に残っていた為、こちらと交
換。ダミータンク、フロントマスクのステッカーは新品で貼り替え。タンクやフレームカウルの傷は、純正色でタッチアップ。シートは先代の物が事故時に表皮
破れ・本体にヒビなどが入ったのだが、これを修理して使用(全く同じ表皮は手に入らないので、シートの硬さや表皮の摩擦が純正に近い様復元修理した)。そ
の他ダミータンクを開けた時に支える支柱が取り外された居た為、先代機から移植。ステップのバンクセンサーが左右とも無くなっていた為、先代機からステッ
プ周りを一式移植。サイドスタンドが純正の自動収納タイプではない物に取り換えられていたので、これも先代機から移植。フロントマスクの
GILERA100周年記念エンブレムとナンバープレートのPOSHアルミツーリングバー、マフ
ラーに取り付けていたパワーアクセレーター、バッテリーに取り付けていたトリックスターPPSスクーターVer、MALOSSIのレッドスポンジにレーシ
ングCDI、ETCキット、先代で交換しまだ数100kmしか使っていなかったクラッチとプーリーベルトもまだ使えるので移植した。
新規追加分はマフラーのヒートガードと、自作バンクセンサー(左
側)。購入時ステップ位置が5段の中で最も高い位置(バックステップ)になっていたのだ
が、元々私は下
から2段目を使っていた。これはこの位置でないと、左コーナーでバンクセンサーを擦るより前にセンタースタンドが接地してしまい、転倒のリスクがある為で
ある(実際、3段目にしていてセンタースタンドが接地し、ここを起点にスピンしてコマの様に回転しながらスリップダウンした事がある)。1
段目の場合ポジションは楽になるもののバンク角が浅くなるので、私としてはステップ位置は
公道使用において、2段目がベストポジションだと思う。当機に取り付けられているマフラー(Leovince
4Road)は元々他機種用で、エキパイの取り回しがDNA用と異なっている。同じエンジンを使っているので、流用可能なだけだ。ステップ位置が4〜5段
目であればエキパイとの干渉に付いては問題ないのだが、3段目だとギリギリ触れないものの、放射熱で靴底やズボンの裾が溶けたり穴開きを起こすし、火傷の
恐れもある。2段目だと、ステップに足を乗せた場合エキパイが靴底にモロ触れてしまう。しかも、2段目はエキパイが邪魔で、ステップに足を乗せている事す
らままならない状態の為、全くの使用不可。1段目だと自分にはポジション的に低過ぎるし、バンク角が減って乗り難くなる上、アキレス腱辺りから太ももが放
射熱で焼かれ、3段目と同じく靴やズボンの融解、穴開き、火傷の恐れがある。4段目以降の場合は確実にバンクセンサーよりも先にセンタースタンドが接地し
てしまう為、センタースタンドを外さない限り私は怖くて乗れないし、ポジションがより窮屈になり、ツーリングにも向かなく
なる。唯一、3段目ならばまだポジション的に我慢の範囲だし、ヒートガードを装着し、バンクセンサーを少し延長
する事でセンタースタンドを付けたままでも
使えると判断したので改良をしてみた。今の所、右側の靴底やズボンの裾が熱で溶けたりはしていないし(放熱自体は純正マフラーと比べて結構
感じるが、ヒー
トガードのお陰で火傷しそうな程の熱さではない)、バイクを傾けてみた結果、左側はセンタースタンドよりも延長したバンクセンサーの方が早く接地してい
る。ちなみに自作バンクセンサーは、ホームセンターで購入したスプリング。片側の先端をバンクセンサーにしっかり巻き付けて固定し、元の長さから更に4cm突
き出している(※詳しくはこちらの画像を参照@)。これなら走行時に風圧で曲がる事もないし、バンクセ
ンサーが接地した際にただの棒状品と違って折れないし、路面に引っ掛かって転倒を招いたりもしない筈。
二代目の修理について。24,212kmで、フライホイールロー
ターに付いているSCREW TCCIC
M5X22と言うパーツが1本根元から折れ、それが中で暴れまわった為中の物を粉砕してしまい、フライホイールとウォーターポンプ一式交換。
DNAの難点は、明らかな設計ミスが4点あ
る。1つ目はデザインを重視した為か、ダミータンクを持ち上げる
とトップブリッジに当たり、ハンドルを切った状態では開けられない。
ダミータンク前部、トップブリッジと当たる部分に保護シールが付いている。これが破れるとダミータンクに傷が付く。
2つ目は、シリンダーとエキパイの結
合部に、ステンレス製スタッ
ドボルトが使われている。シリンダーがアルミ製の為、電蝕を起こしてその内振動で折れる。うちのDNAは2回折れた。知り合いに某国産メーカーの設計
担当者が居るが、日本のメーカーならそんなチョイス間違いは絶対しないと苦笑していた。で、最初の1回目は折れたボルトがシリンダーヘッドから抜けず、仕
方が無いのでシリンダーヘッドを交換しなければならなくなった。2度目は何とか、折れたボルトを抜く事が出来たのだが。そこで電蝕防止の為、スタッドボル
トを特注して作った。焼入りスチール製スタッドボルトに変えてからはノントラブル。
3つ目は、これもデザインから来る影響か、ラジエター本体下側とアン
ダーカウルのクリアランスがほとんど無く、長年の走行で砂が溜まり、それがヤスリの様にラジエターを削って61,000kmで穴が開いた。アルミパ
テで穴を埋めて補修。
4つ目は、これもデザイン優先の弊害なのだが、ラジエターホースがボ
ディー下側と干渉しており、リアサスがボトムする度にホースを傷付ける。放置しておくとその内ホースが破れる為、干渉部分にスポンジを挿み
入れて対応している。美しいバイクを作らせたら最高のイタリア人だが、基本適当なラテン気質なのか、見栄え重視の為、細部で抜
けた作りをしているのが良く出ている内容と言える。
難点とまでは行かないが、ハイ・ロー1灯づつのマルチリフレク
ター式2眼のヘッドライトバルブは、H4のハロゲンバルブで光量こそあるのだが、これもデザイン重視の形の為か配
光がイマイチで、照射範囲が少し狭い。左路肩を完全に照らし切れないので、路肩反射鏡の光が鈍くて道幅が確認し辛い時がある。ロングツーリ
ングで夜間も良く走る私としては、不便に感じる部分である。
◎オーナーの一口インプレッション
速い、丈夫、簡単操作で荷物も積めちゃう優等生バイク!
※私のインプレッションの他に、Mr.Bike
2007年12月号 マニアックバイクコレクション
No.009、並びに単行本、Mr.Bike マニアックバイクコレクション 上の巻きにも取材を受けた本機のインプ
レッションが掲載されているので、参照出来ればどうぞ。
最後にDNAの名前は、『デオキシリボ核酸
(Deoxyribonucleic acid)』から採られている。
GIRERAの歴史についてはこちら→☆
CATALOG SPEC DATA/GILERA DNA180
・エンジン形式 水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒 PIAGGIO READER
・型式名 ZAPM26
・総排気量 182cc
・ボア×ストローク 69mm×48.6mm
・最大出力 15kw/8,500rpm
・圧縮比 11.5-12.5:1
・CARBURETOR WALBRO WV F7 D* φ29
・トランスミッション オートマチッ
クCVT
・全長 1,890mm
・全幅 720mm
・ホイールベース 1,370mm
・シート高 780mm
・乾燥重量 125kg
・燃料容量 10L
・オイル容量 1L
・ブレーキ前輪 240mmシングルディスク
・ブレーキ後輪 240mmシングルディスク
・前輪タイヤサイズ 120/70-14
・後輪タイヤサイズ 140/60-14
☆3:2005年型 DERBI SENDA DRD
EDITION
SM50+28.5 (デルビ センダ ディーアールディー エディション エスエム50+28.5) のインプレッション
まず最初にうちのSENDAは、2008年5月17日に諸経費込み40万円で購入した走行2,050kmの中古車。日本国内には3台しかないと言う、2005年モデルの限定車である。現在、分割ツーリングで日本の都道府県のほぼ6割 (1道2府26県) を踏破済み。
前オーナーがマロッシ製ボアアップシリンダー
(49.9cc→78.5cc・黄色ナンバー登録) と、ビッグキャブレター (デロルト17.5φ→デロルト21φ)
、リードバルブ (カーボン製) 交換をしていたので、ノーマル状態での使用感は分かりません。購入直後の印象は、やたらと
「パワーが出ているが、遅くて乗り難い」でした。1速はあっと言う間に吹け切るが18km/h程しか出ず、後ろの車に煽られる。2速で30km/hチョ
イ。兎に角出足でもたつくし、物凄いパワーであっと言う間に吹け切る為ギアチェンジが忙しくて仕方が無い。3速以上はとてもトルクが出ていてパワフルに走
れるのだが、最高速はエンジンが壊れるんじゃないかと言う音を出しつつ90km/h止まりだった。こんなにパワーが出ている
(多分15psくらい・ノーマルスペック8.5ps)
のに何故?と考えた。元々SENDAは、保安部品を外せば、そのままで欧州50ccクラスのモタードレースに出れてしまう程のハイスペック車。前後のスプロケットはノーマルのままで・・・と言う
事は、標準仕様ではローギアードの超加速重視ギア比になっていないか?と思ったので、ギア比を変える為にスプロケットを交換
し、少しハイギアに振ろうと考えるに至った。パーツを探した所、アファム (フランス製)
からフロントスプロケット (ドライブスプロケット) で11〜16丁 (標準14丁) の設定があった。当初16丁が欠品
により、直ぐに調達可能であった15丁を取り付けた所、乗り難さが劇的に改善した。1速で24km/hまで引っ張れる様になり、最高速は110km/h
(体重60kg) ま
でアップする。ハイギア
化によるトルクの落ち込みも少なく、6速のままで結構きつい上り坂でもグイグイ登って行けた。兎に角加速が良く、80ccながら超一級の瞬発力を持つGILERA
DNA180とほぼ同等の発進加速が得られる。主に2スト原付は弄って最高速を伸ばすと低速トルクが無くなり、発進時に6,000回転くらい回さないと勢い良く発進加速出来ないと言われる。しかしこのSENDAは、ハイギア化したとは言っても元々が超低めのギア比により、3,000回転くらいでクラッチを繋いでも怒涛の加速力を得られた。と言う訳で現在、とても元が50ccの原付とは思えない走りが出来る。カタログスペック上そもそも50ccのまま、ドノーマル状態でもパワーウエイトレシオ11.29kg/psで、
国産原付と比べてもその上位に食い込むダッシュ力を持っているのだけれども。
実用燃費は30km/L前後。前後とは言っても、まず30km/Lを切る事は無い。逆に調子良くブン回して、34km/L前後まで伸びる事もある。良く走る割には燃費が良いバイクだと思う。原付のチューニング車と言うと
20km/Lを切る物も多いのだが・・・。尚、ガソリンは購入時からずっとハイオクを使用している。本来はレギュラーガソリン
仕様だが、日本のレギュラーガソリンが大体90〜92オクタンなのに対してヨーロッパ
は95オクタン。JIS規格上では89オクタン以上となっている為、無印GSでは安いけど、低いオクタン価のレギュラーガソリンを販売している場合も
あったりする。その様なガソリンだと本来の性能を発揮出来ない為、敢えてハイオクガソリンを使っている。またオイル消費がとても少ない。オイルタンク満タン状態からオイル残量警告ランプが点灯するまで、5,054km走れた。その際の給油量は790ml。計算上1,000km当たり、たったの156mlしか消費しなかった事になる。オイルが薄くてシリンダーの焼付きを起こさないかと心配したが、今の所全く問題無し。オイル消費が少ない故にチャ
ンバーからの煙も本当に少なく、排気口も少し黒く煤ける程度で、オイルが垂れる事も無し。
オイルタンク容量は1.2L (リザーブ0.26L)
なので、満タン7,677kmも走れる計算になる。非常に効率の良いエンジンだと思う。28,566kmより、近隣のバイク用品店で購入時から使い続けて来たモチュール710
2Tが入手困難になったため、カストロールPOWER1 2Tに使用オイルを変更した。
本来このSENDAは前述の通り2005年モデルだけの限定車
(本当の正式名称はDERBI SENDA
SM DRD
EDITION BLACK
2005 E2) で、2004年BLACK EDITIONからの、2005年版EVOLUTION
2ndに当たる車両である。その名の通り、外装が真っ黒 (ネロ) であるのが正統なのだが、私はどうしても黒が嫌で、外装を赤 (ロッソ)
に全塗装してしまった。それでうちのは見た目に合わせて、ノーマルなDRD
EDITONの名を名乗っている訳で。因みにこの赤は、フェラーリF430用のロッソスクーデリアを使っている。尚、この正式名称を日本語で省略せ
ずに言うと、デルビ センダ スーパーモタード
デルビレーシングディベロップメント エディション ブラック 2005
エボリューション2と、寿限無の様なとっても長い名前になる。参考までに、SENDAの黒い限定車は本機の他に、2004年限定車でSENDA
DRD BLACK
EDITION (モタードモデル) とSENDA R BLACK
DEVIL (オフロードモデル) が有る。この2機種は999台限定で、特徴として左右シュラウドにシリアルナンバー (例:777や999)
が入り、ス
テッカーが青文字でBLACK EDITION又はBLACK
DEVILになる (EDITION BLACKだと銀文字でDRD
EDITION) 。
ワインディングの上りでリッターバイクを追いまわせる程の超絶原付なのだが、それを管理する為のメーターがこのバイクには不足している。1眼デジタル式マルチ表示メーターなのだが、タコメーターが無いのだ。と言うか、本来はタコメーター表示はあるのだが、購入時では非表示になっていた。新車時に付いて来るマニュアルは無くなっており、輸入元の成川商会へ表示方法を問い合わせたが、1年待っても回答を得ず。もしかすると機能はあるが、国別の仕様によって、日本仕様は使えなくなっているのかもしれない。これが後に悲劇を生んでしまった・・・。
走行時、80km/hを越えると、標準でハンドルブレースが付いているものの、ハンドルの振動が半端では
なくなり、バックミラーが震えて全く見えなくなる。ステアリングバランスウエイトを取り付けるも、全く焼け石に水であった。結局、
ZETAアーマーハンドガードベンドを取り付けた所、ガッチリ先端まで固定される為か、収まった。アーマーハンドガードベンドには、ZETAインパクトハンドガードを装着している。風圧が軽減される為疲労度が激減するし、冬場の冷気除けにもなり、更に見た目も良くなってお勧めである。
乗り心地について、足回りは兎に角硬い。
EDITION BLACKは標準で、フロントにパイオリ製40mmフォークが付く。原付とは思えない程太い。リアも同じくパイオリ製で、別体タンク付きリンク式ガスモノショック。
因みに標準仕様のDRD
EDITIONはマルゾッキ製。パイオリのサスは、跨いでも沈み込みがほぼ無い (体重60kg) 。シート高はカタログ未公表。実測で880mm。身長164.5cmで両足を付くと、左右共完全につま先しか付かず、バレリーナ状態 (又の名を三角木馬責め状態・・・
シート幅がホントに狭いので・・・後述)
になる。自分が横に立つと、シートの位置はほぼ腰の高さ。国産オフローダーやモタードならば乗車すると体重でサスが少し沈み、それくらいのシート高でも実際はもう少し足付きが改善されるものな
のだが、それが沈まないSENDAでは跨いだら即三角木馬攻め状態に陥ると言う訳である。そもそも車格が200cc並み
(横から見ればオフロード250cc並だが、車幅が少し細い) と、フルサイズ原付なのだから。但し、車重が乾燥重量96kgと
軽い為、車体を支えるのに問題は無い。コーナリングは、原付とは思えない程素晴らしい!兎に角跨ぐだけでは硬いばかりの前後サスペンションが、強烈な遠心
力やフルボトムで底付きしそうな局面に対してしっかり仕事し、原付一の極太タイヤが路面をしっかり捉える。モタードらしくイン側の足を前に出してリーンアウトでバンク角深く曲がっていっても、足回りが負けない。なのでフルサイズのモタードの様に、旋回している時の方がスピードが乗る。これはある程度幅広で扁平率の低いタイヤを履く場合、タイヤの中心部を使って走っている時よりもタイヤの端を使って走る時の方がタイヤの外径が小さくなるので、同じエンジン回転数を維持又はコーナリング中でもスロットルを開けて行けるのであれば、旋回時の方が直線よりも速くなる。タイヤについては詳しく後述するが、原付らしくない極太タイヤを履き、ハイパワーを維持して曲がって行けるSENDAだからこそフルサイズ車並の芸当をこなせるのだ。尚、乗り出して1,000km (実走3,000km) 程で左フロントフォークのダストブーツが破れ、フォークオイル漏れを起こした。これまでしっかりサスを動かされて来なかったのか、ゴム部が硬化していたものをガッツリ動かしたので切れてしまったのではと推測する。同時に右ダストブーツにも亀裂が入っていた為、両方交換。交換後10,000km以上走行したが、今現在特に問題無し。
ブレーキは、スペインのAJP製が付く。通常のDRD EDITIONがフロント、リア共にシングルディスクなのだが、EDITION BLACKは標準でフロントがダブルディスクブレーキになる。効きは超強力!但し、効きが良過ぎるのか、ブレーキが止まる寸前辺りによく鳴く。
シートが硬く、薄く、幅が狭い、
如何にものレーシングシートな為、直ぐにお尻が痛くなる。痛くなるだけならまだしも、ロングツーリング時に、お尻の皮が擦り切れて出血した
(9日間で岐阜県から四国1周 (一部大分県・広島県走行あり) 2,065.6km走行した際) 。対策として内装型ゲルザブ (GEL-ZAB
S) を、シートに加工取り付けした。ロングツーリングでお尻が痛くなる事があるが、我慢出来る範疇にまで改善出来た。
日帰りツーリング程度ならばほとんど問題無し。対策後の最長走行は9日間で岐阜県から九州1周2,196kmだが、先の四国1周時に比べ疲労度が超絶激減した。マジでお勧め!但し、この加工でシート高が12mm高くなった。元々シート高の高いバイクなので、短い足の自分にはたかが12mmよりも、されど12mmなのだけど・・・そこは我慢するしかない。シート加工まではとか見栄えに拘らなければ、シートに被せるタイプのゲルザブもある。参考までに。
純正のヘッドライトはバルブが白熱球でと
ても暗く、マルチリフレクター式ながら本体が小さく、照射面積が狭いので夜間走行に適さない。
バルブを高効率ハロゲンのM&HマツシマS2スーパークリアに変更。照射面積は相変わらず狭いが、ちゃんと路面が照らせる様になったので、何とか夜間走行もこなせる様になった。
6速ミッションはギアの入りが渋く、特に1速は最初、踏み込むだけでは入らなかった。一度スロットルを吹かしてやると入る。又5・6速も一発で入らず、しっかり2段
(本来ギアは1速上げる為には2段上げるが、国産車ならスパっと入る為、2段ある事を感じない)
上げないとギアが半入り状態で、トルクを掛けた途端ギア抜けする。10,000km越えた辺りから、症状が改善して来た。15,000kmを越えた現在は、とてもスムーズにギアが入ってい
る。ギアの慣らしには途轍もなく時間を食う。
チェーンは、標準がノンシールチェーン。500kmも走ると結構伸び、1,000km走ればダラダラ状態になって、ガチャガチャ異音が出捲くる。標準チェーンは、こまめにチェーン調整が必要。
10,000kmで調整不可能な程伸びた為、RKエキセル製BL・Uリングシールチェーンに交換。
タイヤは、標準でタイ製Vee
Rubber
VRM-294が装着されている。サイズはフロント100/80-17、リア130/70-17でスピードレンジH (何と原付に210km/h対応品!) 。多分、50cc
では一番太い
サイズのタイヤを履いているので
はないだろうか?こ
の太いタイヤとダブルディスクブレーキ、
40mmフォーク、大柄な車体の為、どう見ても50ccの原付
には見えない。
国産125ccよりも大きく、250ccよりチョイ小さい (車幅が) 。大体見た目には200ccクラスに見える。尚、Vee Rubber
VRM-294は見た目のパターンはカッコイイが、グリップは中の下。交差点で普通に曲がったら、ズルっと滑った事が数回あり。ゴム質が悪いのか減りも早
く、横のエラ張りが見た目にも不均等で、品質が良いとは言えない。しっかりタイヤを温めてやらないと、攻める走りは出来ない。尚、現在VRM-294はフ
ロントタイヤのサイズが絶版になっており、もし今Vee
Rubberで前後揃えたい場合はVRM-342になる。10,000kmで純正タイヤを使い切り、ピレリ・スポーツデモン
(サイズ・スピードレンジは一緒)
へ交換した。流石にスポーツデモンはピレリのスポーツバイアスだけあり走り出しからグリップ感がとても良く (シリカコ
ンパウンドのお陰?) 、安心してコーナーを攻められる。耐久性は交換後現在4,000km程なので、追って報告する。
調子良く走っていたのだが、11,000km越えた辺りでエンジン
から異音が出だし、11,700kmでエンジンストップ。シリンダーの焼き付きか?と
思ったら、ピストンとクランクを繋ぐニードルベアリングが破損し、
破片がシリンダー内で暴れて、ピストンヘッドとシリンダーヘッドを蜂の巣状態にしてし
まった。エンジンの回し過ぎによるものと推測する。これに伴い、マロッシシリンダーキット一式交換。併せて、SP武川φ48スモールDNタコメーター取り
付け。タコ
メーターを取り付けてやっと分かったのだが、このマロッシ製シリンダーキットを付けたエンジンは、超々高回転型だった。エンジン慣らしのあと試しに全開走
行してみたら、15,000回転スケールのタコメーター
が簡単に振り切れる!で、そこから更に回るのである。標準タコメーターの表示が出来たとしても最大12,000回転までなので、SENDAに積まれている
デルビ製EBE050エンジンは、ボアアップで相当化けると言える
(因みにこのエンジンは、DERBIのレーサーレプリカGPR50やスポーツネイキッドのNUDE50にも使われている)
。エンジンブローさせてしまった使用状況時のエンジン音、現状のタコメーターで15,000回転時
100km/hである事から推測するに、前は110km/hで17,000回転くらい回っていたのではないかと思われる。今後エンジンブローさせない為に
最高速は捨て、常用する速度域の回転数を下げる様、これまで以上にハイギア化させる事にした。基本、使用はツーリングメインなので、そちらで使い勝手が良
い様
に。フロントスプロケットを15丁から、設定上限の16丁へ。現況のエンジン音から判断するに、80km/h辺りで以前より1,000回転以上は低くなっ
たと思う。但し、標準からフロントで2丁増しと超ハイギア化した為、高回転域でのトルクが薄くなり、急な上り坂を6速全開ではスピードダウンする様になっ
た。それでも、通常の原付に比べれば超絶パワフルに走れるので、走行性能に不満は無い。普通の原付ならば
4・3速に落としてもおかしくない所、5速に落とせばガンガン上って行けるレベル。それよりも以前15丁時での、トルクの出方が異常極まりないと言った方
が良い。だから簡単に、限界を超え捲くった故に壊れたのではないかとも言える。流石にもう壊したくないので最高速アタックは封印し、修理後105km/h
以上はまだ出した事がない。因みにこのスピードだと、エンジンは余裕を持って回っている。以前なら、
金切り声を上げて回っていた。ハイギア化により潜在能力的には多分、17,000rpm目一杯ブチ回せば120km/h前後まで出せると思う。取敢えず自
分としては、このエンジンのレッドゾーン始点を15,000rpmと考える事にした。尚、1速12,000rpmで28km/hまで伸びるので、発進時も
更に余裕を持って回せられて楽になったし、低速・低回転でのトルクの落ち込みも感じない。多分目一杯回せば、1速で35km/hくらいまで引っ張れるので
はないかと思う。エンジンブロー後19,381kmで念の為一度ピストン周り一式を
交換後、2016年1月1日現在走行距離29,424kmであるが、エンジンの状態は良好である。で、ある程度走ったところ、エンジンの特性が見えて来
た。6,000rpm以上からパワーパンドが始まるが、どうやら12,000rpmから第2の (本来の?)
パワーパンドが始まる様で、坂道を上る場合、6速で最初から12,000rpm以上回している場合はトルクが落ち込まずに上り切ってしまえる。逆に
12,000rpm以下からだと、そこからフルスロットルにしても途中で息切れしてしまう。10,000rpmで丁度70km/h、12,000rpmで
丁度80km/h。走行時に良く使う速度が60〜70km/hなので、その状態で坂道を上る場合だとやはり前記の様にギアを落として回転数を
12,000rpm以上にしてやればガンガン上る。レッドゾーンの始点を15,000rpmと考えた場合、このエンジンの一番美味しいところは、
12,000〜15,000rpmと言える様だ。
その他付加部品は、点火系でトリックスターPPS Racing
MiniVer、デンソー・イリジウムプラグIW-31 (NGK10番相当・標準は9番)
装着。ブレーキ・クラッチレバーにPOSHレバーグリップスを装着。
故障で5,000kmまでに交換した物は、リアストップランプ一式 (LED切れ)
、スピードセンサー、レギュレーター、ラジエターポンプシール、フロン
トフォークシール。但しこれらは、新車時からの慣らし不足とダメ出し不足によるもの推測する。高性能過ぎて硬い足回りや欧州車特有の硬い組み付けは、しっ
かり乗り込んでやらないと各部の擦り合わせや当たりが出て来難い。また、意外と
新品から不調な部品が付いていたりするので (特に電装関係) 、保障期間中にしっかり走り
込む事によってダメ出しをし、早い内にクレーム修理で直してしまった方が金が掛からない場合が多い。
走行距離は少ないが既にメーカーの保障
期間が過ぎている為、購入から3ヶ月程で約10万の修理出費は結構痛かった。上記部品は交換から10,000km以上走行したが、現在は各部問題無し。ま
た19,000kmでサイドスタンドの受軸が折れた。これは長距離ツーリング時にサイドバッグを取り付け、両サイドにフル満タン積載 (片側45L)
した事により重さで曲がり、そして其処から受軸に亀裂が入って折れたものである。応急修理に入ったとあるバイク屋で、これはレーサーでそもそもツーリング
する様なバイクでは無いから折れて当たり前と言われた。今までにもSENDAで長距離ロングツーリングはこなして来たし、前回の長距離ツーリングはサイド
バッグが無かった為、後部に縦積み積載したお陰で重心移動が少なく、大丈夫だったのではないかと推測する。修理の際に材質を現行よりも硬い金属を使用し、
フレームとの溶接も厚盛りした。またサイドスタンドでバイクを立たせる角度も少し立ち気味にして、スタンドに掛かる重量を減らす様改良した。今のところこ
れで問題無し。またこれと同じ時に、振動でサイドパネルとリアフェンダーパネルを繋ぐネジが全部緩み、パネル同士の噛み合わせが一部外れ、そこへ重いサイ
ドバッグの圧力がずっと掛かっていたため両サイドのリアパネルが一部割れた。また、サイドスタンドが無い為にバイクを看板に立て掛けていた際に、看板が思
いの外ツルツルで滑ってしまいバイクが倒れ、フロントカウルに4箇所のひび割れを作ってしまった。割れたフロントカウル、サイドパネルは後ろ側からパテ埋
めし、再塗装・ステッカー貼り直しして修理した。あと、走行中振動でチャンバーのヒートガードが脱落し、そのまま気付かなかったので買い直した。ヒート
ガードはそれまでにも何度か振動でビスが外れて脱落しかけているので、ロングツーリングの際はちょくちょくヒートガードのガタつきを
確認した方が良い。
消耗品の交換はこれまでに、チェーン並びにチェーンガイドとリアブレーキパッドを10,000kmで交換。フロントブレーキパッドを17,000kmで
交換。プラグ5,000km毎、ギアオイル5,000km毎。2ストオイルは、モチュール710にスーパーゾイルを毎回添加して使用。19,000km
時、カウルの割れ修理で入院させた際についででピストン一式、クラッチ交換。28,566km時、購入後毎年冬を越した辺りで弱くなったバッテリーを充電
しつつ使い続けて来たが、6年目で充電しても電圧を保てなくなったので交換。32,966km時にフロントブレーキが握り込んでも効かなくなった為マス
ターシリンダーかもと言う事で交換。それでも直らずフロントキャリパーOHで復活。
その他として、小物入れはシート下にあるものの、書類くらいしか入らない為、積載力増強用でハンドルブレースにモータウン・ニコラスフォールディング
バッグ、リアフェンダーにGPカンパニー・GLT-915Sタンクバッグを常備装着とした。これにより常態で2.1L、フォールディングバッグ展開時最大
で22.5Lの追加積載が可能となる。
SENDAについて、難点が2点ある。給油口が狭く、給油ノズルを入れると、中が見えない。
またガソリンタンクが樹脂製で、ノズルを突っ込んでグニグニしていると、給油口の直ぐ下辺りからガソリンが漏れて来る。前オーナー時代に給油時に口元をグニグニし過ぎて、多分にヒビが入ったのだ思う。余りにガソリンが漏れる様になったので、20,000kmを機に結局ガソリンタンクを交換した。尚、DERBIのバイク&スクーターは他の車種もガソリンタンクの品質が悪いのか亀裂を起こし易い様で、ガソリン
漏れの報告が多い。給油時は、給油口の口元に余り力を掛けない様気を付けた方が良いと思う。
もう一点も同じくガソリンタンクの事だが、前述の様にある程度燃費が良いとは言え、タンク容量が7L
(内リ
ザーブ1.3L) しか無い。どんなに燃費が伸びても所詮分母が7Lなので、結局航続距離が最大で200kmを少し越える程度になってしまい、平均よりも極端に距離を増やす事は出来ず、結果として頻繁に給油が必要である。土日の山間部地域ではガソリンスタンドが閉
まっている事が良くあり、早めの給油か予備ガソリンの携行を推奨する。
◎
オーナーの一口インプレッション
ガチで原付界最強のじゃじゃ馬!
※私のインプレッションの他に、Mr.Bike BG
2011年5月号 濱矢フミヲ マニアックバイクコレクションNOW
No.010にも取材を受けた本機のインプレッションが掲載されているので、参照出来ればどうぞ。
最後にSENDAとは、スペイン語で『小径
(こみち)』の意である。
DERBIの歴史についてはこちら→☆
CATALOG
SPEC DATA/DERBI SENDA SM DRD EDITION BLACK 2005 E2
・エンジン形式 水冷2ストローククランクケースリードバルブ単気筒 DERBI EBE050
・型式名 UTH5R3A1A5H
・総排気量 49.9cc→MALOSSI 78.5cc
・ボア×ストローク 39.86mm×40mm
・最大出力 8.5ps/9,000rpm
・圧縮比 13:1
・CARBURETOR DELLORTO PHVA17.5→DELLORTO(MALOSSI)
PHBG21
・トランスミッション 6速リターン
・全長 2,035mm
・全幅 760mm
・ホイールベース 1,355mm
・シート高 未公表(実測880mm)
・乾燥重量 96kg
・燃料容量 7L
・オイル容量 1.2L
・ブレーキ前輪 240mmダブルルディスク
・ブレーキ後輪 218mmシングルディスク
・前輪タイヤサイズ 100/80-17
・後輪タイヤサイズ 130/70-17
☆4:2000年型 APRILIA RS50 TETSUYA
HARADA
REPLICA (アプリリア アールエス50 原田哲也レプレカ) のインプレッション
RS50は1994年に、それまでのAF1からの代替わりとして登場した。当時、12.2psで110km出せる50ccとして人気を博す。エンジンは、ミナレリ
(イタリアにあるヤマハの子会社) 製AM5。その後、1996年にユーロ排気ガス規制を受け、キャブレターがそれまでのデロルト製19φから同社の14φに絞られて8.8psにパワーダウンするも
(アプリリアの公称では前・中期型の馬力は一貫して8.8ps) 、翌1997年にエンジンを5速仕様のAM5から、6速仕様のAM6へ換装された。これによって、パワーダウンしながらも最高速は初期型と同等までに回復。1999年にフルモデルチェンジされ、フレームがスチールからアルミダイキャストへ変更され、カウルデザインも角ばったデザインから丸みを帯びたデザインになる。また、特徴的だったリアの片持ちスイングアームが、一般的な両持ちタイプに改められている。これらに伴い、前期型より少し車体寸法も大きくなった。フルモデルチェンジ1年後の2000年に、ユーロ規制に伴うパワーダウン後も変わらず使われていたラジエターだったが、オーバークオリティーで冬場にオーバークールとなってしまう為、容量を少し小さく変更されている。それでも結構良く冷えるラジエターなのだが・・・。2002年にユーロ2排気ガス規制、
並びにイタリアの通称モペット規制と言われる50cc速度規制 (45km/h)
を受けてパワーダウン。キャブレターが14φから12φに絞られ、チャンバーにはリストリクターが設けられて排気も絞られる。これに併せてシリンダーの燃焼室形状も変更された。これによりパワーは未公表だが一説には何と2.7psに大減少。マジで45km/hしか出ない。大柄で重い車体な上に元々ハイギアで低速スカスカなものだから、フロントスプロケットをこれまでの13丁から11丁に落として
何とか発進出来る様にしているものの、余りに走らないものだから (ホンダのスーパーカブより遅いとも言われた様だ) 相当各地からクレームが出た模様。チャンバーを社外品に換えるなり、ビッグキャブに換装しないとノーマル車はとても乗っていられないそうだ。またこの年からスピードメーターの表示が、120km/hから80km/hに変更されている。2004年に日本仕様はチャンバーのリストリクターを取り除き、キャブを16φに上げられ、馬力は未公表ながら一説には4.7psに回復した
(シリンダー燃焼室形状変更の性なのか、16φに上げても何故か8.8psには戻らなかった・・・14φ時代の約半分だもんね?謎)
。頑張れば80km/hくらい出るらしい (フロントスプロケットが11丁の加速型なままなので、上が伸びない) 。登場から2年毎くらいで色々仕様変更を受けて来ているので、年式により随分異なるバイクである。2007年に同じPIAGGIOグループより、DERBI
GPR50のOEM供給を受けてフルモデルチェンジ。APRILIA純血のRSは途絶えた。私のRSは2000年モデル5,994.6km
走行車を、2010年2月21日に車体28万8千円、レストア費用と
諸経費込み16万2千円、合わせて45万円で中古購入した。見た目に綺麗でも、各部の経年劣化 (新車時から既に10年経っている)
や、年数の割に走行距離が少ない事から慣らし不足を懸念し、納車前に出来る限りのレストア整備を行った為、結果的に新車購入よりも高くなってしまったのだ。因みにこの車両は今後その他の車両の様に超長距離ツーリ
ングに使用するつもりは無いので、他の車両の様に途轍もない過走行にはならないと思う。あくまで調子良い状態での動態保存を目的としているので。但し、今後ある程度の年数が経てば、調子維持の為それなりの走行距離にはなるだろう。等々の理由により、購入からの使用 (ツーリング)
範囲も現在までに東海地区周辺の5県からまだ出た事は無い。
8.8psと言うと、日本の第一種原付は自主規制で最大7.2psまでしかないので、それと比べればハイパワーなのだが、国産のNS-1、TZR50、
RG50Γ等フルサイズ原付と呼ばれる大型モデルよりも更にデカイ車体を持つ。ほぼ国産250cc並みの車体サイズで、「装備重量」が115kgもある為パワーを食われ、パワー感は余り感じられない。
特に高回転型エンジンであり、高速域を稼ぐ為にハイギア、2ストローク故に低速トルクが無い上に、前述の様に重いので、出足の悪さは天下一品と言える。パワーウエイトレシオは13.07kg/psで、スタートからのダッシュ力は余り無い事が分かる (※国産車は乾燥重量からのパワーウエイトレシオ算出であり、RSの乾燥重量はアルミフレームのお陰もあって89kgで、それから算出すると10.11になる)
。しかし高回転域まで持ち込めば、ノーマル比較ならば原付一のパワーで元気良く走れるのだが・・・。クラッチを上手く繋げば3,000回転くらいで発進出来るが、周りの交通に支障が無い発進をしようとすると、最低4,000〜4,500回転程回す必要がある。更にトルクが出てくるのが6,000回転を超えてからになるので、エンジンの回転上昇に上手くスロットルを当てて回さないと素早い加速は出来ない。それくらい気を使った加速をしても、昔乗っていた5psのDJ1並くらいかな?とは言え、DJ1の発進加速感は当時のスクーターでも速い方で、パワーウエイトレオ10.00kg/ps。決して遅くは無い事を申し添えておく。現在の比較対象が超絶に良く走るSENDAである為、RSはかわいそうと言えばかわいそうなのだ。ギア付きで、オートマチックのスポーティー系スクーターに発進で付いて行けるだけでも良しなのだから。他のギア付き原付は、発進でほとんどの車種が普
通は置いていかれる (※国産車で速い各社代表例を挙げるとNS-1:12.78、NSR50:11.53、CRM50:10.69、TZR50R:11.67、TZM50R:10.83、DT50:10.55、RG50Γ:10.14、HUSTLER50:10.69、AR50:
10.00、KSR-T:10.69) 。7,000回転を超えると「しっかり」トルクが出て来るので、思う様にスロットルが反応して加速してくれる様になる。0スタートからこの回転域まで持ち込む「一呼吸半」が長く、遅く感じるのでこの部分を改善したく、初期型と同等のキャブに変更する事にした。
因みに坂道発進は、4,000回転台だとちょっとキツく、最低でも6,000回転は必要。坂道発進は嫌になるので、この辺りもビッグキャブでどれ程改善されるか期待している。
で、購入から400km、マロッシ製21φのキャブレターに変更した。上記の様に初期型が19φなので、ノーマルフルパワー以上に取敢えずはなったかな?
流石にそれまでの14φからと比べた場合、全く別物になった感じがする。しっかりと低速トルクが厚くなり、発進時の気難しさが無くなったし、スロットルの応答も全体的に早くなった。お陰で加速感も段違いに良い。また、ノーマルだとギリギリ6,000回転で巡航出来る感じだったが、同回転数でもパワーを感じられ余裕がある。その為これまで乗った後に疲れを感じたのだが、乗り易くなった事で疲労感が無くなった。ちなみに加速感を例えるなら、SENDA (Fスプロケ2丁増し状態)
を1とした場合、14φ状態が0.3ならば、21φ状態は0.8くらい (10,000kmを越えてからは0.9くらいまでUP) 。体感的には10,000km越えた辺りで13ps以上出ているのではないかと思う。キャブ交換だけで、結構化けた感じ。パワーウエイトレシオが予想値8.85kg/ps
(乾燥重量換算6.85で、ボアアップしているSENDAの6.40に肉薄している)
になったので、そりゃ速い訳である。またトルク感が10,000kmを越えた辺りから更に増し、最近ではSENDA以上になった。実際にSENDAの6速で上り切れない坂道を、RSは6速のまま上ってしまう程である。ギア比はRSの方が圧倒的に高い筈なので、エンジンが熟れて相当トルクが出る様になったと思う。0発進からの加速は圧倒的にSENDAの方が速いが、80km/hから上の伸びはRSの方が現在は良い感じだ。ミナレリ
AM6の実力は思いの外高い!因みに、最高速はノーマル時で100km/h、キャブ交換で115km/h (体重60kg) 。ちょっとした下りなら、120km/hメーターを振り切る事も出来るが、レブリミットも振り切っているので遣り過ぎは要注意。
先にも述べた様に、車体は国産の250ccクラスと同等な程にデカイ。NSR250と並んでも、RS50の方が若干大きい
(特に横幅が目に見えて大きい) 。それでもってシート高が810mmもある。このカタログスペックからも相当に足付きが悪い事が窺がえるが、乗ってみると更に足付きが悪い事に気付く。同じ
810mmのPXよりも断然に高いのだ。原因はシート形状にある。一言で言い表せば、ただっ広いと言ったら良いのか。兎に角シートの幅が広く、角がある形状な為、私の体型 (164.5cm)
だと太腿の1/3くらいがシートに乗っかって、其処から足を真下へ下ろす感じになるからだ。とても足を下ろし難い。シート自体は硬めだが適度なクッション性があって座面がとても広いので、体重が分散されてお尻が痛くなる
事は無い (過去1日の最長走行距離は岐阜県・静岡県往復379.5km) 。足付き性は重量がある分、感覚的にもっとシートの高いSENDAよりも悪く感じる。実際の足付きは、当然SENDAの方が悪いのだけれどもね。因みに国産車で、自分が以前乗っていたレーサーレプリカ250ccのHONDA NS250R
Rothmansが780mm、250ccスポーツ車HONDA VT250F(FG)が745mm、125ccレーサーレプリカのSUZUKI
RG125Γで760mmだった。で、こっちの方がシート高は低いのに、乗るとお尻が直ぐに痛くなるバイクばかりだった・・・。
走り出してステップに足を乗せると、これが異常に高い!標準でバックステップが付いているのだ。感覚的にはこれだけシートが高いのならば、もっと低い所にステップがあってもおかしくないのに。チビで短足の私ですら足の曲がりがキツイ。過去に乗った同じ様なレーサーレプリカのRG125ΓやNS250Rよりもステップ位置が高い。ガソリンタンクが50ccとしては異常に大きく13Lもあるため、ハンドル位置が遠い。そしてレーサーレプリカらしくハンドルは低く絞ったセパレートハンドル。乗車姿勢で丁度視線はスピード&タコメーターの位置になるので、ヘルメットを被って重い頭を意識してグイっと上げていないと前が見えない。物凄く前傾姿勢な上に膝の曲がりもきつく、過去に乗った中でポジションが一番きつ
かったRG125Γの、更に上を行くきつさがある。走っている最中は常時、上体を伏せた状態でしか居られない。しかし、この体勢は一般的なバイクの乗車位置が鞍に跨って乗る乗馬なら、こちらは鞍上で腰を浮かし、上体を伏せて手綱を絞る競馬の騎手みたいな体勢になる。どちらがより高速走行で操り易いかと言えば、後者になるのは明白だろう。50ccの原付だからと手を抜いてないパッケージングになっている。
サスはフロントが少し柔らかめ。大体DNA180と同じくらい。柔らか過ぎると言う事は無く、粘り気のあるネコ足的な感じ。リアは上端3cmくらいの減衰力が無く、バネのみの印象。但しそこからリアの減衰力は、フロントよりもう少し硬めで、
同様に粘る感じの味付けで、しっかりとした減衰力を感じる様になる。よって路面が荒い時は上手く跳ねるのを押さえ、スピードが乗っている時や加重を掛けて曲がるコーナリングではしっとりと路面を捉えるので、安心してオンザレール感覚で曲がって行けるセッティングだ。愛車の一台、VOLVO 940 TACK
ESTAETに後付けているモンローのサスに近い。体は優雅に水面を進むが、水の中では足が動き捲っている白鳥の様と形容されるのがモンローの特徴で、この味付けと同様である。この辺りはPXやDNAと同様に石畳の多い、イタリア本国の交通事情に足回りをマッチさせているのだろう。お陰で、路面状況の悪い田舎の峠道でも車体が暴れず、安心してスロットルを開けられるから攻め易かったりするし。と言う訳で、RS50はレーサーレプリカとしては乗り心地がとても良いと思う。まぁ、国産レプリカをイメージしている方だと、物足りなくって足回りを換えたくなるかもしれない。ガッチガチ=レーサー的なイメージって強いから。自分の使い方の様に長距離ツーリング&時々峠攻めくらいならば、むしろこちらの方がイイ足回りだと思う。SENDAのは戦闘的過ぎで、長距離ツーリングでは疲れの元にしかなら無いし。言うなれば、SENDAは力のスーパーストライクで、RSは技のスーパーストラグルって感じだ。
ブレーキは、前のマスターシリンダーがアプリリア純正で、キャリパーはDNA180と全く同じブレンボ製が付いている。後ろはマスターシリンダー、キャリパー共にグリメカ製。フロントブレーキはDNAと同じで良く効くのだが、リアブレーキはイマイチ。と言うのは制動力が悪いと言う事ではなく、ステップが高いのに踏み代位置が低く、自分にとっては超踏み難いのだ。多分足の大きい人ならば問題は少ないのだろうが、私は一般成人男性としてはとても小さな足 (24.0cm)
の為、踏み込んだ時に足首を曲げる角度が大きく取られてしまい掛け辛い。強いて言えば、私の体型は最近の平均的な女性並
(ちなみに手のサイズはSか女性用のM) か、それよりも少しだけ高い程度なのである程度大柄な方は兎も角、一般的な女性が乗るのにはとてもポジションが辛いバイクだとも言える。微調整は利くのでショップにて一番上に上げてもらったが、それでもチョイまだ低い。後は慣れの問題か?
リアブレーキとは逆に、左側のシフターは位置的に問題ない。但し、動きがとても硬い。SENDAの様な「ギアの入り難さ」は無いのだが (6速目は少し入り辛いので2段入れを意識して押し込んだ方がギア抜けし難いかも) 、動きが硬過ぎて左足の甲が痛くなってしまう。シフトパットが付いているライディングシューズを履いていてこれなので、主に原付に乗る様な世代 (10代後半から20代前半)
が履いているスニーカーで乗ってしまうと、きっと直ぐに甲の部分がボロボロになってしまうだろう。SENDAは10,000kmを越えてから随分ギアが入り易くなったのだが、RSの場合別問題だろうと推測する。と言うのは、バックステップの為か、シフトロッドが異様に長いのだ。多分シフトの硬さはこの長いロッドを介しているからと、勿論欧州車特有の慣らしに時間が掛かる部分も重なって余計に硬いと思うのだ。SENDAの様に10,000kmを過ぎればギア本来の入りは良くなるだろうが、シフターの形状的な硬さは取り様が無い。ライディングシューズだとどうしても表皮が柔らかいので、ある程度柔らかくなっても甲部分の硬さがしっかりしている革製ブーツとかで乗った方が楽だろう。10,000kmを越えた辺りからやはり馴染んで来て、随分楽にシフトチェンジが可能になった。若干硬めに感じる所もあるが、逆に「カチッとした質感のシフト」になったとも言える。
タイヤは標準でピレリMT75を履く。購入時に経年劣化でひび割れていたので前後新品に交換した。MT75はRS50登場以来標準タイヤなのだが、設計が80年代と古い為かゴム質が硬い。このタイヤは色々な人のインプレッションにてグリップが無く「くそタイヤ」等と散々に言われているが、今の様にタイヤのゴム質である程度グリップを出すタイプでは無く、当時はタイヤパターンが色々研究され、このタイヤは溝のエッジで路面を噛んでグリップを得るタイプだ。私がバイクに乗り始めた80年代頃は、こんなタイヤが主流だった。よって使い方を間違わなければ、中々良いグリップが確保されていると思う。自分的には、グリップ感についてはとても良いと思う。この手のタイヤは構造上しっかり加重を掛けないと溝のエッジが路面を噛まない為、何気にスロットルだけで曲がるとズルっと行き易い。しっかりフロントブレーキを掛けてフロント過重にしたら、そのままブレーキを完全リリースしないでほんの軽くブレーキを引き摺る感じにすると、上手く路面を噛んでくれるし、とても粘り気のあるグリップ感を得る
(僕的に言えば、サイピングの路面を引っ掻く手応えが、気持ち悪い程ネチっこく路面に食い付く感覚) 。要するに今の世代のバイクタイヤの様にゴムのグリップだけに頼らず、本来のバイクコーナリングに忠実な乗り方をすれば全く問題は無いと言う事。尚、ゴムが硬いので、耐久性はとても良いと思っていたが、前後輪共にほぼ10,000kmで履き潰した。もうチョット長持ちするかと思っていたのだが、硬いゴムのエッジでガリガリ引っ掻き、中々高いグリップを引き出していた為か、思いの他早く消耗してしまった。SENDAに履かせている同じピレリのスポーツデモンは、10,000km越えても前後共にまだまだ余裕を見せている。高々10psチョイのパワーでスピードレンジSのタイヤなのにこの程度とは、思ったよりも消耗度の高い本格的スポーツタイヤの様だ。距離的にはDNA180の純正タイヤMAXXISと同等だが、受け止めているパワーは約半分。MT75は、本国では未だ現役でサイズも多くのラインナップがあるのだけど、多分小排気量カテゴリー的にMT75がスポーツモデルで、スポーツデモンはスポーツツーリングモデルなんだろうと思う。スポーツデモンの方がもちが良いのは、設計が10年以上新しい分、使われているタイヤゴムの材質自体の耐久性が上がったのだろうと推測する。硬いゴムのサイピングでグリップを稼ぐタイヤと言うと、1990年代のミシュラン・スタッドレスタイヤを思い出す。あれも、こんな硬いゴムで良く雪道やアイスバーンをグリップ出来る物だと思ったものだったが、MT75はそう言うタイプなのかもしれない。尚、空気圧でとても性格が変わる事を申し上げておく。1.8〜1.9kPaだととてもグリップが良いが、路面の食い付が良過ぎて細かいターンや交差点で曲がり難くなる。サーキット向き。2.3kPa以上だとタイヤのパターンエッジが路面を捉えなくなるのか、少し滑り易くなる。グッドコンディションは2.0〜2.1kPaの範囲。尚、履き潰した状態だとパターンエッジが無くなって、グリップ感がとても着薄になると共に挙動も不安定になった事を報告しておく。本当にゴムではなく、パターンにグリップが依存したタイヤである。
RS50のタイヤのサイズはフロント90/80-17、リアが110/80-17。これも設計が古い為、車体の割りに細いタイヤを履いている。但しそれは現在だから言える事で、「当時の原付としては一番太いタイヤ」でもある。80年後半から90年代前半の、250ccレーサーレプリカとほぼ同じ様なサイズだから。最近のバイクは押しなべてタイヤサイズが太くなっており、このサイズはほぼ絶滅状態。今購入できるタイヤは標準タイヤのMT75以外では、ミシュランのパイロットスポーティーしかない。今後このサイズを履くバイ
クは無くなる一方なので、いつカタログ落ちするとも限らない状況だ。いつまでタイヤを手に入れられるかが今後の課題と言える。2010年秋、とうとう純正タイヤのピレリMT75がカタログ落ちした。尚、ピレリについては、アプリリア正規代理店にてパーツ扱いで注文すればまだまだ手に入るとの事である。因みにタイヤの銘柄や性能に拘らなければ東南アジアで使われているバイクは細いタイヤが多い為、SENDAが標準で履いているタイのVee
Rubber製に前後で銘柄の統一は出来ないが、スポーティーで似た様なパターンの使えるサイズが多数ある
(F:VRM-224、VRM-280、VRM-292Gekko
Star、VRM-317、VRM-360。R:VRM-249、VRM-294。前後パターン的に一番合いそうなのはF:VRM-292Gekko Star R:VRM-294かな) 。参考までに。2011年現在の最新情報では、前後揃うのはミシュランのパイロットスポーティーのみ。 (→2012年7月絶版!)
ピレリはパーツ注文ならOK。国産タイヤではブリジストンは旧車用でF:G557、BT-39SS。リア用は無し。ダンロップではF:TT900GPと旧車用でF:K275FA、R:K730。IRCではF:NF33に使えるサイズがある。つまり、リア用が国産物だとダンロップK730の1択しかない。サイズとしての110/80-17は他にも存在したが、残念ながら全てフロント用だった。と言う事で、MT75以外では前後タイヤは全て型番が違い、前後パターンを合わせられない。強いて言えば、ダンロップ旧車用の組合せがパターン的に似通っているので、若しかしたらグリップやフィーリングが嵌まるかもしれない。結局MT75を履き潰した後は、ダンロップF:K275FA、R:K730の組合せを装着した。もう一度MT75と言う選択肢もあったが、所詮パーツ在庫として残っているデッドストックの古くなったタイヤより、製造の新しいタイヤの方が良いのではないかと考えたのでダンロップを選択してみた。履き心地等は追って報告する。因みに調べたところ、このタイヤの組合せはヤマハSRX250やSDR200の純正タイヤだった。本来は前後K730だったのがフロントだけ絶版し、代わりにK275FAが代用指定されている模様。SRX250は32ps、SDR200は34psを発揮する中型スポーツ車であり、同車が現役当時には「通」な走り屋が乗っていた。それ用のタイヤならばRS50のパワーは半分以下なので、十分スポーティーに走っても使えるのではと思われる。と言うか、50ccで250ccクラスのタイヤを履いているRS50は、やっぱり大柄だと思う。
ダンロップK275FAとK730の履き心地について。まずグリップ感は申し分ない。MT75と同等と言って良い。が、フロントタイヤの性格が全く異なる。MT75はセルフステアリングが強く、バイクをバンクさせるとノーズが勝手にグッと切れ込む様に入っていくオーバーステアである。それに対してK275FAはセルフステアリングが弱く、安定志向の弱アンダー傾向。よってバンクと共に若干の当て舵をしないとノーズがインに入っていかない。大きなRの高速コーナーならば安定感ある走りになるが、RS50はパワーが無い分小さいコーナーをヒョイヒョイ小刻みに曲がれた方が性格的に合っている気がするので、バイク的にはMT75の方がマッチングが良いと思う。逆に癖の無い、素直なハンドリングが好みならダンロップがお勧めとなる。
ヘッドライトは、DNAと同じくハイ・ロー1灯づつのマルチリフレクター式2眼。欧州車の常で、標準の白熱球は暗い為、バルブを高効率ハロゲンのM&HマツシマS2ホワイトゴーストを取り付けた。これにより夜間走行は問題ないレベル。但し、この2眼は配光こそ左側通行仕様なのだが、バルブの位置向かって左側 (対向車線側)
がロービームで右側通行仕様のままであり、若干左側路肩付近に当たる光が弱い。よって、よくある左路肩の反射鏡も少し弱めの光しか返して来ない為、道路の幅が確認し辛い時がある。夜間走行は慣れが必要かも。
バックミラーの鏡面は嵌め殺しで
あり、角度調整は根元を回すだけの横方向にしか調整出来ない。縦方向に調整出来ない為ベストポジションを得られず、後方視界はある程度の妥協が要る。
走行中、エンジンが8,000回転くらいから、チャンバーより白煙がもうもうと出る。その昔、80年代の2ストレプリカはこんな感じだった。紫煙たなびく2ストと言われていた様、そのまんま。そしてチャンバー出口にはオイルが垂れる。高回転を維持して走っていると、垂れて来たオイルを盛大に撒き散らす様で、チャンバー周辺やナンバープレートにオイル染みが付く程。オイル消費は多い事が予想される。PXも結構白煙とオイルを吐くが、目視的にではRSの方が多く吐いている感じ。後ろを走る人には申し訳ないが、相当オイルを吐くバイクなので、真後ろには近づかない方が良い。尚、キャブを21φに変更したところ、白煙が半分以下に減り、オイルも吐く事は吐くが、随分減った。察するに、キャブの口径がエンジン本来の設計値に近づいた事で燃焼効率が良くなり、しっかりオイルを燃焼し切れるだけのガソリンが供給される様になったからではないかと思われる。それでも白煙とオイルを吐くのは、高回転仕様のため元々焼付き防止でオイル量に相当なマージンを持たせている為ではないか?と推測する。プラグをデンソーイリジウムIW24 (NGK8番相当) からIW27 (NGK9番相当)
に変更した所、ほとんどオイルを吐かなくなる。白煙も随分減少した。プラグの番手を上げた事により高回転域での燃焼効率が更に良くなり、オイルがより燃焼し易くなったのかもしれない。但し、冬場の気温が低い時に走行した所、プラグが被った為IW24に変更した。結果として春から秋にかけてはIW27、冬場はIW24が合うと思われる。尚、冬場でのIW24使用なら、チャンバーからのオイルタレは発生していない。因みに、デンソーの車種別適合表ではRS50の推奨品はIW24になっていて、NGKで9番が指定されている
(2010年2月現在はホームページ上の車種別適合表で9番が指定されていたが、2010年12月現在では8番に変更されている) 。
オイル消費量は今のところ平均1,555kmで1L。125ccの2スト並みに食う。1,000kmで156mlしか消費しないSENDAと比べたら、約10倍もオイルを喰らうエンジンである。上記の様に燃焼効率が購入初期より
かなり良くなっている筈なので、ノーマルだともっと食うのかもしれない。オイルタンクは1.6Lで、その内リザーブ分0.35Lとなっているからオイル無給油で最大2,488km走る事が出来る計算になる。2ストオイルは、モチュール710にスーパーゾイルを毎回添加して使用。5時間300km程高回転を維持して一気に走っても、今のところ焼付きや抱付きは無い。多分に、高回転を多用しても焼付かせない様オイルを相当濃いめな設定にしていると思われるが、逆に言えばエンジンを回し気味に使ってやらないと
(低回転ばかりでは) プラグを直ぐ被らせる事になるかもしれない。16,103kmより、近隣のバイク用品店で前記オイルが入手困難になったため、カストロールPOWER1 2Tに使用オイルを変更した。
メーターはアナログ式で、大型のタコメーター、中型のスピードメーター (MAX120km/h表示)
、小型の水温計による3眼メーター。バックライトが暗く、夜間やトンネルの中での表示確認は見難い。またイタリア製らしく?、タコメーター文字盤の成型が悪くて右横方向に隙間があり、光が漏れている。尚、14,800kmで、急にタコメーターの針が6,000rpm以上で本来の数値よりも2,000rpm多く表示する故障 (まるで電気式タコメーターの誤作動の様に見えるが、RSのタコメーターは機械式…?)
を引き起こし、交換となった。
ノーマル状態・キャブ変更後共に燃費は30km/L前後。但し、SENDAの反対で、普通に走っていて30km/Lを少し切る事の方が多い。
ボアアップしているSENDAが余程ブチ回さない限り30km/Lを切らないから、50ccのままのRSは比べるとちょっとだけ燃費が悪いかな?それでもある程度の高速・高回転を使用してこの燃費なので、特に燃費が悪いバイクではないと言える。尚、前述の通りガソリンタンクが13Lあるので、最大航続距離は60km/h巡航ならば約390kmと長い。結構回し気味で走っても300kmは楽に越えられる。尚、ガソリンは購入時からずっとハイオクを使用している。本来はレギュラーガソリン仕様だが、日本のレギュラーガソリンが大体90〜92オクタンなのに対してヨーロッパは95オクタン。JIS規格上では89オクタン以上となっている
為、無印GSでは安いけど、低いオクタン価のレギュラーガソリンを販売している場合も
あったりする。その様なガソリンだと本来の性能を発揮出来ない為、敢えてハイオクガソリンを使っている。
ラジエターは前述の通り、うちのRSはオーバークール対策済みの物が付いている
(2000年モデルからラジエター容量がそれまでより小型になった) のだが、これでも冬場はオーバークールになる。どれだけ走っても水温計の通常値範囲を示す白ラインにすら届かず、取敢えず走り出しても良いブルーラインの中間程までしか上がらない。酷暑と言われた2010年の夏場でも通常走行で水温メーターの1/3程、渋滞時でやっと真ん中までしか上がらなかった。よってRSは、相当高効率のラジエターを積んでいると言える。これはDNAもそうなのだが
(SENDAは水温計が無いので分からない) 、小型の水冷イタ車は押しなべて高出力を無理やり搾り出す為発熱量が大きく、冬場ではオーバークールになる様な高効率ラジエターを積んでいる。それでさえ、夏場はオーバーヒート気味になる車種が多いからね。なのでRSに限っては他車とは逆に、冬場は少し高めの回転域を常用した方が発熱量でエンジンがスムーズに回り、結果的に燃費が良くなったりする
(オーバークール状態だと燃費が落ちる) 。→もしかしたら、購入当初からサーモスタットが逝きかけに近かったので上がり難かったのかもしれない。サーモスタット交換後、普通に走っていれば青と白の丁度境まで上がり、長い登坂路でエンジン負荷が多めに掛かると、真ん中チョイ手前くらいまで針が上がる様になった。
これまでの消耗品は、7,800kmでチェーンをノンシールチェーンからシールチェーンに変更。スロットルを大きく開けた時にガツンとショックが出ていたので、チェーンが片伸びしていたものと思われる。ある程度パワーのある原付なので、我慢して10,000kmもたせるよりも耐久性の高いシールチェーンへ早々に変更した方が良いかもしれない。ギアオイルを走行5,000kmで交換。今後も5,000km毎に交換予定。10,000kmでエアフィルターに穴が開き交換。但し、エアフィルターは新車時から今まで (10年間)
交換されていなかった様で (購入の際のレストア時に気付かなかった) 、経年劣化でボロボロになって穴が開いたものと思われる。12,000kmでフロントブレーキパッドを交換。
14,225kmでサーモスタットが開きっ放しになり、オーバークールになった為交換。サーモスタット交換でシリンダーヘッドを開ける為、
そのついでにピストンリングも交換した。2016年1月1日現在20,069.6kmとなったが、エンジンの調子は良好である。
付加部品は、点火系で前述のデンソー・イリジウムプラグIW-27
(NGK9番相当・標準は8番) 、トリックスターPPS Racing
MiniVer装着。ブレーキ・クラッチレバーにPOSHレバーグリップスを装着。他に、50ccのままでは使えないのだけど、もしかしたら何時かナンバーを黄色登録にするかもしれないので、オプションの純正タンデムステップを付けてみた
(イタリア本国では50ccで二人乗り出来るから付いているが、正規輸入の日本仕様車は日本の国内法にて50ccで二人乗り出来ない為、タンデムステップを外された状態で販売された)
。これでホントにパッと見、250ccだと言っても違和感無い。
現在までの故障はリアブレーキ灯のスイッチが走行8,000kmで逝ったのと、14,800kmでタコメーター誤作動による交換、冬場にプラグが被って1本お釈迦にしたのみ。よく「壊れる」と言われているRSだが、結構丈夫だと思う。
◎
オーナーの一口インプレッション
マジで原付に見えない原付!
※私のインプレッションの他に、Mr.Bike BG
2011年8月号 濱矢フミヲ マニアックバイクコレクションNOW
No.013にも取材を受けた本機のインプレッションが掲載されているので、参照出来ればどうぞ。
最後にRSとは、原型となったレースマシンの『型式』から採られている。
APRILIAの歴史についてはこちら→☆
CATALOG
SPEC DATA/APRILIA RS50
・エンジン形式 水冷2ストローククランクケースリードバルブ単気筒 MINARELLI AM6
・型式名 DZ4PGE
・総排気量 49.75cc
・ボア×ストローク 40.3mm×39mm
・最大出力 8.8ps/9,250rpm
・圧縮比 12.0±0.5:1
・CARBURETOR DELLORTO SHA14/12→DELLORTO(MALOSSI)
PHBG21
・トランスミッション 6速リターン
・全長 1,920mm
・全幅 675mm
・ホイールベース 1,280mm
・シート高 810mm
・乾燥重量 89kg
・燃料容量 13L
・オイル容量 1.6L
・ブレーキ前輪 280mmシングルディスク
・ブレーキ後輪 220mmシングルディスク
・前輪タイヤサイズ 90/80-17
・後輪タイヤサイズ 110/80-17
☆5:1989年型 MOTO
GUZZI V40 TARGA (モト グッツィ
V40 タルガ) のインプレッション
V40はMOTO
GUZZIの名車、LE
MANS1000を祖とした小排気量バージョンの内の1つ。シリーズ最小排気量350ccのV35
IMORAUをベースに排気量を346.2ccから386.9ccへ拡大され、日本専用仕様のV40
CAPRIとして、日本固有である400cc市場向けに1987年モデルより導入された。1989年モデルより、エンジンの見直し(トラブルが多かったのか4バルブ→2バルブ)をされたV40
TARGAへとモデルチェンジされる。私のTARGAは車検証の初年度登録が1988年で、1989モデルからリリースされたTARGAの最初期ロットであり(イヤーモデルはその前年に製造・発売されている)、17,296km走行車を2011年4月10日に諸経費・車検込み40万円で中古購入した車両である。尚もし叶うなら、急遽身に降り掛かってしまい今抱える難治の病気(IgG4関連多臓器リンパ増殖性疾患・IgG4関連関節リウマチ・口腔癌)の症状が落ち着き、SENDAの全国踏破が終わったら、この車両でも日本全国を周ってみたいと思っているが……。
製造年である1988年を日本の歴に直すと昭和63年になり、購入時点で製造から勘定して23年物。前記した様に日本専用の為、作ったイタリア本国でTARGAは売られておらず、また日本で売られた台数も少数であった事から今となってはV40に掛かる文献も絶版して乏しくなってしまい、車体の詳細すら掴む事が難しい希少種である。※2011.10.26、有力な詳細情報を何故かフランスのサイト(La Belle Histoire Moto
Guzzi)で発見したので、出力等の詳細を以前のもの(ネコパブリッシング
MOTO GUZZI
12のデータ)から修正しています。→2016.5.31、輸入元の福田モーター商会へダメ元で諸元について問い合わせをしたところ、快くご回答を頂けたのでそのデータに修正しました。輸入自動車主要諸元表と当時のカタログを元にしていますので、これ以上ない正確なデータです。
前後のタイヤは、その当時日本のスポーツ車で流行ってい
た前後16インチ(F:
100/90-16、R:120/90-16)
であり、しかも現代の車両から見ると非常に細い。このサイズは既にほぼ絶滅しており、IRCとブリジストン、ダンロップの旧車用くらいしか無い状態である。
現在TARGAに装着されているダンロップのタイヤ(K530F)はスポーティーなパターンであるが、既に生産中止されている。これを使い切った後はホンダのCB400SSが純正装着で履いている、比較的大人しいパターンのタイヤ、IRC
RS-310辺りしか無くなってしまうのが見栄え的に寂しい所だ。ブリジストンとダンロップの場合は取敢えずサイズがあるだけで、前後のパターンが異なってしまう為(ブリジストンの場合F:BT45、BT39、G539・R:絶盤、ダンロップの場合F:TT900GP、GT601・R:K327A)、現在履いているタイヤを使い切った後は、実質前後揃うIRCのRS-310へ履き替える事になるだろう。タイヤは車だろうがバイクだろうが前後で銘柄違いを履くと、やはりタイヤパターンやコンパウンドの違いで挙動やグリップが前後で変わってしまい、安定感を欠く事が多々あるので自分はあまりお勧めしない。因みに国産車でTARGAと前後同サイズのタイヤを装着していたのは、カワサキGPZ400Sのみ(一応、海外仕様のGPZ500Sも)である。多分IRCに未だラインナップが残っているのは、GPZ400Sのお陰ではないかと思われる。尚、海外製のタイヤは本国のHPにおいてはメッツラーでF:
LASERTEC・R:PERFECT ME77、ピレリでF:SPORT
DEMON・R:CITY DEMONに使えるサイズが存在するが、日本にはこのサイズが残念ながら輸入されていないし、前後で銘柄が違う。フロントのみ未だ数種類の銘柄が選べるのは、フロント16イ
ンチサイズの流行った頃に生産台数が多く、そして人気のあったホンダVT250FやVFR400R、ヤマハFZ400R、カワサキFX400R、
GPX400R、GPZ400R、KR250S、前述したGPZ400Sがあった為。特にVTやVFR、FZ、FX、GPZ辺りはまだまだ居るので、各
メーカー共ライダーの乗り方によって銘柄を数種選べる様残しているのだろう。それに対してリアは、前述のGPZ400S以外にスズキGSX250L、ホン
ダ
ナイトホーク250、カワサキZ250LTDと言った「超」が付くと言っていい程の不人気車しかない。当機と同じく「生き残っている方が稀」な車種ばかり
である為、ほとんどの銘柄が絶盤してしまったのだろう。
エンジンを掛けスロットルを捻ると、ほんの少し右に車体が引っ張られる。
また、動き出しの際にリアがピクンとし、エンジンブレーキを強めに掛けると後輪がロックして右に滑る傾向がある。
縦置V型エンジンとシャフトドライブの癖は、400ccクラスであってもしっかりMOTO
GUZZIらしさを醸し出している。まぁ、直ぐに慣れてしまい、気にならなくなってしまうが。TARGAはスポーツ・ツアラーの分類に入るのだが、エンジンの吹け上がりは可もなく不可もなくまあまあのレベル。400ccとは言え、所詮昔ながらのOHVレイアウトの2バルブエンジンなので、俊敏と言うよりも大らかに回るエンジンである。エンジン音も何だか耕運機みたいだし。また、スロットルが強制開閉式キャブによるワイヤーのせいかとても重く、長時間走っていると右手親指にスロットルだこが出来る程である。因みに、最大馬力は昔乗っていたホンダのVT250F(FG型 : 43ps)より低い33.69cv(約33.73ps/1cv=1.00125ps)なのだから、当時の国産400ccと比べ20ps以上は少ない(当時の400ccは自主規制値59ps。その後1992年から53ps。250ccで45ps、1992年から40psだった。現在、馬力自主規制は撤廃されており、最新のスズキGSRは61psもある)。じゃあ加速が悪いかと言うとそんな感じではなく、トルクでグイっと飛び出し、5速ミッションはワイドレシオのギア比なので、高回転まで引っると2速くらいで結構スピードが出てしまう(レッドゾーン始点の8,700rpmで1速が70km/h、2速が100km/hまで引っ張れる)。TARGAのパワーウエイトレシオは5.0kg/psだが、調べてみると同じ80年代のバイクでは、ヤマハのOHC単気筒SR400は5.6、SRX-4で4.5。最近の400ccだとホンダのSOHC単気筒CB400SSが5.4、VツインのVT400Sが7.3、スズキのSOHC単気筒テンプターが6.4、ヤマハのDOHCパラレル4のXJ400S
DIVERSIONが4.2、カワサキのDOHCパラツインNinja400で4.6です。同じ80年代の高スペックな空冷直4のGSX400FS
IMPULSE(3.6)、Z400GP(3.7)、CBR400F(3.0)、2000年前半くらいの、まだ400cc全盛期だった頃のDOHC4気筒マルチシリンダー搭載車のCB400 SUPER
FOUR(3.2)とかイナズマ(3.6)、ゼファー(3.5)やZZR400(3.7)には流石に敵いませんが、まぁこうやって比べればマルチには敵わないまでもツインやシングルとは同等か少し速いと言う感じ(別格としてスズキのハイパワーなVツイン系SV400S(3.1)、GLADIUS400
(3.7)が有るけど)。やはり可もなく不可もなくのレベルじゃないかと考える。因みに外車400ccで比べる(データのある車両のみ)と、DUCATI 400 F3(3.5)、DUCATI 400
SS(4.1)、DUCATI MONSTER400(4.1)、BIMOTA
DB1J(2.9)。もう一つ因みに、これ以外に中免で乗れる外車400ccはBIMOTA KB2J、BIMOTA DB2J、BIMOTA
YB7、BIMOTA TESI 1DJ、MOTO GUZZI V40 CAPRI以上スポーツ&ネイキッド系、HUSQVARNA
400R、HUSQVARNA SM400R、HUSQVARNA TE400、TM SMM400 4T、TM SMR400 4T、KTM
400EXC、GASGAS PAMPERA400、GASGAS FSE400 SM、HUSABERG
FE400以上オフロード&スーパーモタード系、APRILIA SCARABEO400 IE、PIAGGIO MP3 400
FL、PIAGGIO BEVERLY400以上スクーターが有る。探せば意外と大型免許が無くても乗れる、割と大きめな外車も有るものです。閑話休題。
コーナリングは、前後16インチタイヤのお陰でヒラヒラ感がある。また、セルフステアリングが強く出る為、バンクさせるとノーズがグイッとインへ入って行くので向き変えもし易い。更には、縦置Vツインで上手く横方向の振動を打ち消すのでコーナリング中の挙動はとても安定し、オン・ザ・レール感覚で曲がって行ける。それにプラスして縦置エンジン+シャフトドライブならではなマスの集中による低重心で、コーナーへ飛び込んでしまえばどっしり感のある、安定志向なコーナリングが出来るバイクであるとも言える。但し、攻めるタイプではなくあくまで楽しむ範疇(安心して曲がって行けるタイプ)であり、正にスポーツ・ツアラーらしい性格。因みに、自分は前記の様に前後16インチタイヤによる挙動を良い方向で評価している(DNAの項でも書いているが、元々自分はノーズが入り易い挙動のバイクが好き)が、雑誌記事やMOTO
GUZZIの書籍等で、16インチ装着車は評判が悪い。特にMOTO
GUZZIの場合、それまでの車種の美点として高評価だった安定感が、流行に乗って16インチタイヤにした事で損なわれてしまったと言われており、失敗作扱いされている。よってMOTO
GUZZIのスポーツ・ツアラーとしてを考えたハンドリングはスポーツ性よりツアラー性重視であり、ジャイロ効果がより高い18インチを履くモデルの方がグッドハンドリングと評価される様だ。TARGAの場合、うちの前期モデルは前後16インチだが、中期モデルは前16インチ/後18インチ、後期モデルで前後18インチへと変遷しているし、本家LE
MANSも後期モデルになると前後18インチへ仕様変更になった事を申し添えて置く。
また、前記した様にセルフステアリングが強く出るのでバンク角だけでコーナリングが決まるのだが、変にステアリングを強く握り込んでしまうとセルフステアリングを抑え込んでしまう為、バイクが曲がって行かなくなる。コーナリングの時こそステアリングに手は添えるだけで、バイクの行きたい様に曲がらせてやるとスムーズに曲がれる性格だ。
MOTO GUZZIのブレーキは独特で、リアブレーキを踏むと前後輪にブレーキが掛かる「インテグラルブレーキシステム」を採用している。前後ともブレンボ製のブレーキシステムなのだが、インテグラルブレーキを掛けた場合、フロントダブルディスクの内片側(左側)のみに作用し、残りが後輪のシングルディスクに掛かる構造となっている。強いて言えば、車のブレーキみたいな感じで使う。で、通常の右ハンドルに付いているブレーキを掛けると、フロントダブルディスクブレーキのもう片側(右側)に掛かる。通常の運転では殆どインテグラルブレーキのみで事足りる様に作られていて、ハンドルのブレーキは強くブレーキを掛けたい時の補助、またはブレーキング時の姿勢制御に使うくらいの性能しか無い。なのでハンドルブレーキだけで止まろうとすると制動力がとても弱く、怖い思いをするかも。感覚的にはVESPAのブレーキと同じ使い方で、フロント3:リア7である。尚、インテグラルブレーキはノーズダイブを抑える様に考え出されたシステムなので、サスの項で後述しているが、フロントの動きが少なく感じる。その為、ブレーキの効きも体感的に弱く感じてしまう(実際にはちゃんと効いている)。
乗車姿勢はセパレートハンドルにより軽い前傾になるが、780mmとシートが低いので(身長164.5cmで両足の踵が少し浮く程度)思ったよりもハンドル位置は高く感じる。また、ハンドルの絞りもレプリカに比べれば緩いのでキツさは少ないが、絞り加減から若干の窮屈感はある。クラッチはシャフトドライブの為、車のそれと同じ乾式である。但し、DUCATIの用な多板ではなく単板の為、クラッチを切った際にカラカラと音は出さない。ワイヤー作動の為非常に重く、1日運転すると左手の消耗は激しい。年代的に可能だった筈だが、前述で比較したVTの様な油圧式クラッチを載せれば良かったのにと思う。何せ当時の平均的な国産400ccよりも、30〜50万円高価だったのだから。車でも旧車で、非油圧式クラッチだと非常に重く負担に感じる。人間が出せる力の中で最も力を出せる部類の踏力でさえ疲れるのだから、頑張っても1/3以下しか出せない握力で賄うのは大変と言う理である。また、乾式クラッチの為スパっと繋がるが、半クラッチなどで滑らせると消耗が激しい為クラッチワークは気難しい。
購入後直ぐに、右バンクエンジン停止で片肺走行に陥る。右キャブレター不調の為、キャブレター交換。交換後調子見で乗った所、今度はセルが回らなくなる不具合が発生。コイル不良を疑い、ショップによりコイルを国産車の物を改良して交換し、ついでにバッテリーを新品にする。試走の結果また同じ症状が出た為原因追求した所、ストップランプのヒューズ接点不良による断線でセルに電流が行かなかった事が判明し修理。更に試走した所、右バンクエンジンピストンのピストンリングが割れてしまい、ピストン並びにシリンダーが傷付き交換する。シリンダー修理出し中にバッテリー上がりを発現し、調べた所トランジスタ不良で常時電流を流してしまっている事が分かりトランジスタ交換。更に、スターターモーターの固着で中古良品に交換。実は購入整備時にもスターターモーター固着が判明していて交換しているから、これで3個目。購入から3ヶ月間実走行回数5回くらいで、殆ど修理に費やす。この車両、うちに来る前はとあるブティック内で飾りにされていたとかで、15年程眠っていたそうだ。やはり長期間動いていない車両は、起こす際に色々と出て来る物である。最後のスターターモーター交換で、どうやら初期トラブルは全て落ち着いた様。
その後の不調は特に無い。但し、不調では無いのだが、経年劣化していたのか、走っていたら振動でフロントカウルを支持しているプラスチックの噛み合せが割れ、フロントカウルがプラプラになってしまったので、現在その部分はタイラップで留めている。その為、微妙にフロントカウルの取り付け位置がずれ、その影響で今度はヘッドライトの光軸調整が合わなくなってしまった。対策としてフロントカウルとヘッドライトの合わせ目の間にゴムを噛ませて光軸を車検が通る様に合わせたので、フロントカウルとヘッドライトの合わせ目に少し隙間が出来てしまった。隙間については、窓やドアに使う防水隙間用スポンジを入れてカウル内の電装系に水が掛からない様にすると共に、見た目も誤魔化している。
フロントカウルの入手は困難なので、取敢えずはこのままで行く予定。何時か、折れたプラスチック部分を再生出来れば良いなと思っている。→後述の長期修理入庫中にプラスチック再生修理済み。・・・しかし残念ながら、約5,000km程問題を抱えつつも動いていたエンジンが2011年12月、22,250kmで突然、何の前触れもなくストップ!ショップで確認してもらったところ、交換した右バンクエンジンの圧縮が全く無いとの事。バラしてもらうと、焼き付いた感じ。で、ピストンの頭も欠けていて、欠けた部分がシリンダー側に張り付いていた。何らかの不具合でエンジンへのオイル供給がストップした為焼き付いたのだろうが、理由は不明である。現在シリンダー・ピストン・ピストンリング・オイルシールを取り寄せ中。→2012.12.7、1年経過したところでやっと部品が揃い、修理を始めたとの連絡あり。但し、部品を組んだらバックファイヤーが出て、まともにアイドリングしない状態らしく、原因究明中。まだ暫くは掛かりそう……。→2015年10月、エンジン不調の原因は取り寄せたシリンダーが後期ロットで、当機が積んでいる前記ロットの物と微妙に燃焼室の内径が違っておりマッチングが悪かった為と判明。但し、シリンダーを再度乗せ換えたものの、それでも微妙に調子が戻らないと連絡あり。→2016年5月、電装系を一新し、フルトランジスタをポイント点火に変更(TARGAは基本フルトランジスタだが、丁度それまでのポイント点火からフルトランジスタへの過渡期だったらしく、前期ロットのみそれ以前のモデルに使われていたポイント点火へ変更が可能らしい)。キャブのスロージェット調整と、点火時期を早めた完全ハイオク仕様でようやく燃焼が落ち着き、2016.5.30車検取得して4年5ヶ月振りに復活した。納車後2ヶ月で約1,000kmの慣らし走行をし、8月に北海道ツーリング2,491kmを敢行したが、エンジンの状態は今の所問題ない。エンジン以外は仕方がないと思っているのだが、兎に角エンジンだけはもう壊れる事のない様切に願う。復活後の故障は、23,941kmで(前記の北海道ツーリング中)スピードメーターケーブルが切れた為交換。また、同時期に(スピードメーターケーブル切れを修理するまでの間に)前部右側ウインカーのアース線が切れ、ウインカーが不灯となったので修理。24,568kmでオイルプレッシャースイッチからオイル漏れを起こした為、交換修理。25,199kmでエンジン左バンク用ポイント・コンデンサー間の配線が接触不良になってアイドリング不調、更には素早いスロットル開度にエンジン回転が付いて来ないと言う不調に陥った。配線を接続しているギボシのカシメが緩んだ為で、このカシメ部分をハンダ付けして抜けない様にしたところ正常に戻った。
乗り心地は、フロントサスがMOTO
GUZZIオリジナルのエアアシスト付きカートリッジダンパーのお陰で変な気分。ハッキリ言って硬い。感覚的にフロントダンパーのストローク感がないのだけど、フォークを見るとちゃんとストローク跡がある(但しトラベルは少ない)。路面の凹凸が全部伝わって来るので、肘を上手く使って振動を吸収しないとフロントが暴れ続けている感覚。また、前述のブレーキの項にあるインテグラルブレーキで、特にブレーキング時に前後ともほぼ同じ様に沈み込む(普通のバイクよりフロントダイブがとても少ない)為、サスのストロークスピードが普通のバイクよりも遅くなるから余計サスが動いている気がしない。リアサスはコニのショックが付いていて、最弱設定でDNA180の硬い方から2段目相当。試しに2段目にしたら硬過ぎて、乗っていると頭が痛くなった事から最弱に戻した。不等ピッチのスプリングが相当硬いのだろう。と言う訳で、サスは前後共に硬い。路面の凹凸をサスがいなしてくれないので、路面状態の悪い道は大地震にずっと揺さぶり続けられている気分。逆に路面状態の良い道なら、ベターっと路面に吸い付く様に走る感覚となる。シートは形状がスクエアで横側角の張りがしっかりしており、慣れるまで少し内股に違和感を感じるかもしれない。しかし、780mmとシート高は低いので、違和感は早々に慣れて来ると思う。座面は少し硬めで面積も広く、シートは疲れ難くてお尻も痛くならないタイプである。ここまでのイタ車4台(PX・DNA・RS・TARGA)ともホントにシートの出来が良い(SENDAは元々がレーサーなので、快適性を全く考慮されていない為除く)。最近の国産車は乗った事が無いので分からないが、過去に乗った国産車(Γ・NS・DJ1・VT・MAGNA)はロングツーリングで必ずお尻が痛くなった。VOLVOの項でも述べているが、欧州人は車両の装備よりも乗り心地に煩いと言われており、国産車と比べてメーカーがシート開発にお金をしっかり掛けている。これが良い効果を出していると思う。
車体はスポーツ・ネイキッドの様な形をしているが、非常に空力が良く考えられていると思う。高速道路を走っていても、体に当たる風の影響は思っている以上に少ない。これは乗車姿勢でも述べたがシートが低く、またフロントカウルの位置が高い事に起因すると思われる。実際メーターの位置が非常に高くて、通常の乗車姿勢のまま最小限の目線の移動でメーターの確認が出来るくらいである。セパハンで若干の前傾姿勢になる為、丁度顔の辺りまでフロントカウルで綺麗に整流される形になる。ここからも、このバイクはただのネイキッドではなく、スポーツ・ツアラーなんだなと思う。因みにTARGAは前述のとおりLE
MANS1000を祖にする小排気量バージョンの内の1つであるが、このシリーズとしてV35 IMORAU(350cc)、V40
CAPRI(400cc)、V40 TARGA(400cc)、V50 MONZAU(500cc)、V60 LARIO(650cc)、V75 TARGA(750cc)のラインナップがあり、その違いはエンジンの排気量とそれに伴う物で占められる。2バルブと4バルブの違いはシリンダーヘッドの形状で判別し易いが、それ以外は車体がほぼ一緒な為、基本的に全車見た目も一緒で、車名のステッカーやプレートが無い場合はとても判別し辛い。また車体がほぼ共通な分元々が重いのか、400ccであるV40
TARGAは車検証上装備重量300kg(カタログ値は280kg)となっており、重さもナナハン等のビッグバイク級。取り回しには結構疲れる。
ちなみに、乾燥重量は170kg。一般的に、装備重量と乾燥重量の差は30kgくらいだと思うのだが、何故にこのバイクは倍増近くになるのだろうか?車検証に記載された装備重量は、車検を受ける際に検査されている筈なので間違っている可能性は低く、その為、実は乾燥重量が170kgではなくて280kgの間違いじゃないのか?と疑ってしまう。
空力が良い為か、5速ギアの割りに燃費は良い方だと思う。但し、それに加えて5速ギア自体が相当オーバードライブな設定になっているとも言えるが。この辺りは本当に車の5速ギア感覚である。因みに高速道路で片道220kmチョイ、往復450km弱を100km/hペース(追い越しで120km/h)で走行した所、燃費は25.5km/Lだった。380ccで200ccのPX200
FL並みな高速燃費。今後エンジンがもっとこなれて来れば、更に燃費が良くなるかもしれない。燃料タンクは18Lあるので、計算上の最大巡航距離は459km。下道オンリーでも20〜21km/L辺りの燃費にて走れるため、これもまたツアラーとして十分な性能だと思う。ちなみに、北海道ツーリング2,491.0kmをほぼ下道ばかり走って、平均燃費は20.3km/Lだった。下道の場合ガソリン満タンで、凡そ380kmくらい走れると思う。尚、ガソリンは購入時からずっとハイオクを使用している。本来はレギュラーガソリン仕様だが、日本のレギュラーガソリンが大体90〜92オクタンなのに対してヨーロッパは95オクタン。JIS規格上では89オクタン以上となっている為、無印GSでは安いけど、低いオクタン価のレギュラーガソリンを販売している場合もあったりする。その様なガソリンだと本来の性能を発揮出来ない為、敢えてハイオクガソリンを使っている。→エンジンブロー修理にて点火時期を早める事で最終的にエンジンが安定したため、完全ハイオク仕様になった。
購入後3,000kmでオイル交換した際にオイルディップで残量を確認した所、オイルが半分減っていた。オイル量は2L(オイルフィルター分を入れると
2.5L)なので、ボチボチオイル消費するエンジンかもしれない。モチュールの3000 4T 20W-50
1.8L+スーパーゾイル200ccを入れる。今後のオイル消費がどうなるかは、次の機会に確認する予定。で、前述の通り、エンジンの焼き付きを起こしてしまった。今後、1,000km毎にオイル量を確認する事にする。→長期修理後、1,000km走行しオイル量を確認したが、今の所全く減っていない。エンジン修理のお陰で減らなくなったのか?尚、エンジン修理後からオイルを前記の鉱物油から、半化学合成油であるelf MOTO 4
RS
20W-50へ変更した。→北海道ツーリングにて1週間で約2,500kmを走ったところ、オイルディップで2/3(約200cc)を消費していた。ここまでにオイル交換から約3,500km走っていた為、走行4,000kmくらいでオイルディップのUPPERからLOWERの間、約300ccを消費すると推測される(オイル量3LのLE
MANSはオイルディップのUPPERからLOWER間が500ccらしいので、オイル量から勘案すると当機は300ccくらいではないかと言う事で)。
付加部品については、先ず電送系が弱くバッテリーの消耗が激しいと聞いたので、PXでバッテリーに効果の有ったホットイナズマを取り付け。セルの回りが多少ではあるが良くなったと思うが、充電効率は・・・?と言った感じ。また、プラグをイリジウムプラグのNGK
BPR7EIX(5933)にする。本当は他の愛機車種にも使っているデンソー製のイリジウムプラグにしたかったのだが、デンソーの場合熱価がNGK換算で7.3番(IW22)と中途半端になってしまう為、今回はNGKを採用した。尚、BPR7EIXはプラグの先端に端子キャップ付きと端子が剥き出しの2種類あり、それぞれ品番が違う。一般的なレジスタープラグやデンソー製イリジウムプラグはどちらでも使える様にこのキャップの取り外しが出来るが、NGKのイリジウムプラグは何故かわざわざ品番を別けて、端子キャップ付きで取り外しが出来ない様の物(1198)と、最初から端子ネジ剥き出しの物(5933)をラインナップする。購入の際は品番5933の端子ネジが剥き出しのタイプを選ぶ事!自分は最初それに気付かず、1198を買ってキャップを外そうとして端子ネジを捻じ切ってしまい、量販店と交渉の末、半額でもう一度5933を買う破目となった。因みに、量販店では在庫が1198で5933は取り寄せ品になっていた。多分次は色々めんどいのでNGKでは無く、デンソーのIW22にすると思う。
あと、2度の立ちゴケ(理由は後述)で、横に張り出している縦置Vツインエンジンの空冷フィンに少し傷を付けてしまった為、エンジン保護用にグッツィ・ガードと呼ばれるエンジンガードを装着した。尚、グッツィ・ガード装着にてプラグキャップがガードに当たり、振動でプラグキャップが外れかかる事案が発生。その為、プラグキャップを純正の90°直角タイプから120°広角タイプに変更し、ガードと干渉させない様にした。あと、ブレーキ・クラッチレバーにPOSHレバーグリップスを装着。ナンバープレートにMOTO FIZZナンバープレート荷掛フック装着。高速道路走行用にミツバサンコーワMSC-BE31ETC車載器を装着。
TARGAの難点については、今の所6点ある。先ずDNAの項でも紹介しているが、サイドスタンドはヨーロッパ車らしく自動収納式を採用している。それ自体を自分は重宝しているので良いのだが、TARGAのサイドスタンドは取り付け場所が悪く、とても使い難いのである。丁度横に張り出したエンジンの真下辺りに根元があり、シフトチェンジペダルの下側にスタンドを出す部分(後端の引っ掛け部)がある。つまり、サイドスタンド全体がステップよりも前にレイアウトされている。通常のバイクはステップの下前後(凡そ車体の中心辺り)に根元があり、ステップの後方にスタンドを出す引っ掛け部がある。私は基本、立ちゴケ予防で乗車状態にてサイドスタンドを先ず出し、バイクを固定してから降りる様にしているのだが、乗車状態でこのサイドスタンドを出そうとするとシフトチェンジペダルが邪魔で、やって出せない事は無いが、爪先がサイドスタンド後端に上手く引っかからなくて押し出せず、それで体勢を崩して2度も立ちゴケしてしまった。そもそもサイドスタンドの位置自体随分前の方にあり、シフトチェンジペダルを上手くかわしてスタンドを押し出せても今度は一番前まで押し出し切れず、接地させたつもりが収納されてしまいそのまま立ちゴケに至る。このタイプの立ちゴケも5回ほどしてしまった。低身長で足が短いと、乗車したままでは本当にサイドスタンドを出し辛いバイクだと思う。その為、TARGAだけは乗車したままでのサイドスタンド出しはしない事にした。が、降りてから出す際も、シフトチェンジペダルが相変わらず邪魔で出し辛い。よって、ここでも間違ってバイクを倒さない様、慎重にサイドスタンドを出す様にしている。→4年5ヶ月修理入庫している間にサイドスタンド後端の引っ掛け部へ少しくの字型にした全長12cmの金属棒を溶接し、長さを後ろ側へ延長する事で乗車したままサイドスタンドを出せる様に対策を施した。くの字型にしたのは収納時に上手くシフトペダルをかわし、且つ後ろ側へ反らす事で足を掛け易く、更にはより前へ押し出す様にする為(※詳しくはこちらの画像を参照@、A、B)。
これで乗車したままサイドスタンドを出せる様になり、リアシートに大型ツーリングバッグを載せたままでの乗降も可能となった。また、このサイドスタンドは一般的なバイクと比べて非常に短い。道路がかまぼこ状になっている為右側通行用のサイドスタンドは車両が立ち気味にならない様少し短めで、左側通行用は車両が傾き過ぎない様少し長めになっている事が多い。TARGAは左側通行の日本専用モデルなのだが、排気量とライトの向きくらいしか考慮されておらず、サイドスタンドは右側通行用で短いまま。その為サイドスタンドで駐車すると、一般の国産バイク以上に傾く。しかもサイドスタンド根元の剛性が弱く、車重以上の重量を一気に掛けると折れ易いらしい。何にしても、サイドスタンドの使用には注意が必要である。
2点目として、センタースタンドもまた使い辛い。センタースタンドを掛けても、前後輪がペッタリ地面に接地してしまう。真っ平らな場所ならば良いが、少しでも傾斜のある場所でセンタースタンドを掛けると微妙にグラつき、バイクが倒れないか不安で掛けられない。また、前後輪が接地しているので、前後に車体を揺すってセンタースタンドを外す方法が取れない。基本は後部側面のタンデムバーを上へ持ち上げつつ、前方へ押し出す様にして外す。この為センタースタンドを外す際にブレーキを握れない為、前後に少しでも傾斜のある場所ではバイクが動いたら簡単に止められないのでこちらも要注意。
3点目は、ハンドルロックが右切りな事。一般的に、バイクのハンドルロックは左切りである。SENDAは左右どちらでもハンドルロック可能だが、TARGAは右切りのみである。故に出先において、他のバイクと並べてハンドルロックを掛けて駐車する場合に変な目で見られる事が多い。余談だが、バイクカバーによっては最初から左切りロック状で作られている物もあり、実際自分もそうとは知らずその様なバイクカバーを買ってしまい、使えず泣きを見てしまった。バイクカバーを買う時は要確認を!
4点目は、発電がとても弱い事。
元々常時点灯式ヘッドライトを積んでいないが、ヘッドライトを点けると電圧計の針がほぼレッドゾーンまで下がる(ホットイナズマを装着した状態でも)。ヘッドライトを点灯したままで停車して、更にウインカーを出すと完全にレッドゾーン入りになる。ここで更にブレーキ灯を点けたままだと、電圧計の針が左に振り切れる程。この為、夜間ライト点灯である程度走った直後の場合余りバッテリーへ充電されないのか、次の始動時でセルの回りが弱い時がある。よって常時ヘッドライトを点灯したまま走るとどこでバッテリー上がりを起こすか分からず、日中は車と同じ様にトンネル以外では消灯して走っている。ちなみに、夜間長時間走った際は、後でバッテリーを補充電している。安全の為にはヘッドライトを常時点灯にしたい所だが、古いバイクであり、電装系を改変するのは普通の環境に居る者には難しい。
5点目は、アンダーカウルの取付ネジの位置が悪い事。と言うのは、丁度エキパイがまるでネジを隠す様に、真上を通っているのである。イタリア人らしく、見栄え優先でデザインしたからこうなったのか?しかも、エキパイとネジとのクリアランスが20mm程しか無く、ネジが緩んだ時、エキパイを外さないとネジを締められない構造なのだ。場所がエンジン直下と言う事もあってか、振動で直ぐにネジが緩む。ネジ自体はエキパイに頭を抑えられてしまい脱落する事は無いのだが、緩んだまま走り続けると振動でアンダーカウルのひび割れ(特にネジ穴周辺)を誘発しそうで怖い。SENDAで一度悪夢を見ているから・・・。ネジロックを塗ってみたのだがそれでも緩んでくる為、何か他の対策も併せて考えてみたいと思う。
6点目はこれまでに書いているがあらゆる所で「重い」事。車体が300kgと重いので取り回しが大変、スロットルが重いので一日捻っていると指にたこが出来る程、そして乾式のクラッチが重いので一日操作していると握力をなくしたり関節痛を引き起こす等々。高速道路や北海道みたいに信号のない場所をダラ〜ッと走っている分には良いが、市街地等運転中GO &
STOPが多い場所とか、駐車の為乗り降りの多い状況で使うと大変疲れるバイクである。
その他については乗り出し中なので、更なるインプレッションは乞うご期待♪
◎
オーナーの一口インプレッション
重さとその佇まいは400ccのクセにナナハン級!
最後にTARGAとは、イタリア語で『盾』の意である。この頃のMOTO
GUZZIはバイク名にイタリアのサーキットやレース名を用いていたので、出自は公道レースで有名なTarga Florio (フローリオ牌)
から取られたものと思われる。
MOTO GUZZIの歴史についてはこちら→☆
CATALOG SPEC DATA/MOTO GUZZI V40 TARGA
・エンジン形式 空冷4ストロークOHV2バルブ90度縦置V型2気筒
・型式名 IPS
・総排気量 380cc
・ボア×ストローク 74mm×45mm
・最大出力 33.69cv/8,200rpm
・最大トルク
3.08kg・m/7,000rpm
・圧縮比 10.5:1
・CARBURETOR DELLORTO PHBH28×2
・トランスミッション 5速リターン
・全長 2,070mm
・全幅 660mm
・ホイールベース 1,460mm
・シート高 780mm
・乾燥重量 170kg
・燃料容量 18L
・オイル容量 2L
・ブレーキ前輪 270mmダブルディスク
・ブレーキ後輪 235mmシングルディスク
・前輪タイヤサイズ 100/90-16
・後輪タイヤサイズ 120/90-16
☆6:1986年型SUZUKI
RB50 GAG (スズキ RB50 ギャグ) のインプレッション
GAGは1986年2月、SUZUKIがリリースした原動機付自転車(以降原付と略す)である。スクーターではないそれまでのミッション付き原付は主にビ
ジネスモデルのカブやメイト、バーディーと言ったタイプ、一般的なバイクの50cc版と言えるMBXやRZ50、RG50Γ、小径タイヤを装着したレ
ジャーバイクでモンキーやポッケ、EPO等があった。その様な中、原付がそれこそ四半期に一度新型が出ると言われた80年代、SUZUKIが突如これまで
にない
ニュータイプとして送り出したバイク、それがRB50
GAGである。そのフォルムは前年デビューしたGSX-R750とそっくりな外観のままギューっと縮小させたフォルムをしている。フルカウルを纏った、ま
んまレー
サーレプリカである。しかしエンジンはビジネスモデルのバーディーから流用した物で、スピードは速くない。見掛け倒しで、GAG(ギャグ)と言うネーミン
グ
も納得出来る。タンク下に"SACS"の文字が書かれているが、GSX-R750はSuzuki Advanced Cooling
Systemの略なのだが、GAGはSuzuki Advanced Comical
Systemと書かれていて、"Comical"つまりメーカー自体「滑稽な」とか「おどけた」、つまりギャグですよと言っている。その割に見た目の完成
度は高くて外見的にチョロQの様なデフォルメもなく、SUZUKIが本気になってGAGでキャグをかましたのが見て取れる。フロントはテレスコピック
フォークにディスクブレーキが付いてるし、リアはモノサス、ウインカーやリアテールランプ、リアフェンダーはGSX-Rと共通部品。バックステップのアル
ミペグはGSX-Rと同じデザインにしてあるなど、ビックリするくらい凝っている。最初は物珍しさで売れたそうだが、僅か1ヶ月後に2インチ大きなタイヤ
を履き、1.6ps大きい7.0PSのパワーを持つ2stエンジンでGAGと同じ様に大型レーサーレプリカ(YZR500)を縮小したYAMAHAの
YSR50ば発売され、翌年6月にはHONDAからNSR500を縮小した様なバイクであるNSR50が発売された。NSR50は原付の自主規制パワーリ
ミット一杯である7.2PSでGAGやYSR50に勝つべく後出しジャンケンで作られたバイクだったため、これらミニバイクによるレースでは無敵を誇っ
た。この当時はパワー競争、スピード競争の時代だったため、一番遅くてローパワーなGAGは不人気となり、定価18万3千円とこの中では最安値だったにも
拘らず1年後には約半値の叩き売り。結局僅か2年でカタログ落ちになっている。YSR50が6年、NSR50が12年作られていたので、このジャンルを切
り開いたパイオニアだったのだがとてもに短命に終わった。私は2019年8月26日に2,354.8km走行車を総額44万6千円で購入。元の定価より
2.4倍以上高い値段になってしまった。やはり短命だったため販売台数が少なく、あってもスピードが出る様改造からの酷使などでボロボロになっている車両
が多く、外装が綺麗で未改造車は希少であり、こんな値段でしか手に入らなかったのだ。ちなみに当車は完全なノーマルではなく、電装の12V化(元は6V)
とフロントブレーキホースがゴムホースからメッシュホースに変更されていた。他に変更箇所はない。
走りは兎に角遅いに尽きる。過去に所有した50ccはHONDA DJ-1、同MAGNA
50があるが、両車ともスピードメーター一杯の60km/hで巡行が可能であった。GAGは出るには出るのだが、エンジンがもう必死過ぎてそのまま走った
ら壊れるのではないか?と言う感じになる。巡行は50km/hがリミット。平和に走るなら30〜40km/hが無難である。最高速こそ遅いのだが、重量の
軽さとビジネスモデルのバーディー系エンジンだからなのかトルクはしっかりあり、坂道は意外とトコトコ上って行く。MAGNA
50に乗っていた時は平地は良かったのだがちょっとした坂道で直ぐスピードダウンし、きつい坂道は2速でも上れず1速で何とか上る様な坂でもしっかり助走
を付けていればGAGなら3速で上って行ける。きつい所で2速に入れる事はあるが、1速まで落とす事は先ず無い。まぁ、MAGNAはカブ系ではなくその下
のモンキー系エンジンなので、大きく重いのにより非力なのだから仕方ないのだけど。乗り味は、車体が小さいためとても窮屈。身長164.5cmと男性では
小柄な自分であるが、バックステップとセパハンが余計態勢を窮屈にする。サスペンションは前後とも柔らかめで、良く路面に追従する。シートも肩からず柔ら
かからずで乗り心地は良いと思う。ハンドリングは小径の10インチタイヤで、しかもホイールベースが極端に短いためクイック。スピードの出ないバイクだか
ら良いが、これを改造して高速仕様にすると、足回り等もしっかり弄らないと怖いのではないかと思う。
◎
オーナーの一口インプレッション
マジでGSX-Rのギャグバージョン!
CATALOG SPEC
DATA/SUZUKI RB50 GAG
・
エンジン形式 空冷4ストロークSOHC単気筒
・型式名 A-LA41A
・総排気量 49cc
・ボア×ストローク 39.0mm×41.8mm
・最大出力 5.2ps/7,000rpm
・最大トルク
0.57kg・m/6,000rpm
・圧縮比 10.3:1
・CARBURETOR MINUNI VM13
・トランスミッション 4速リターン
・全長 1,540mm
・全幅 610mm
・ホイールベース 1,080mm
・シート高 610mm
・乾燥重量 64kg (装備重量70kg)
・燃料容量 7L
・オイル容量 0.8L
・ブレーキ前輪 165mmシングルディスク
・ブレーキ後輪 140mmドラム
・前輪タイヤサイズ 3.5-10
・後輪タイヤサイズ 3.5-10
☆7:1998年型 VOLVO
940 TACK ESTATE (ボルボ 940
タック エステート) のインプレッション
VOLVO
940シリーズは1990年に登場したが、内容的にはその前身であるVOLVO
740シリーズのビッグマイナーチェンジバージョンに等しく、ルーツは740が登場した1984年・昭和59年まで遡る。よって購入当時で14年、平成22年現在から見れば26年前の車と同じである。うちの940
TACKは1998年モデルを1997年 (平成9年) 11月17日に諸経費込み400万円で新車で購入した。
940は、平成の世の車とは思えない程全体的に古臭い (※自分
は1985年のインターTECでブッチギリの速さを見せた240
TURBOに魅せられ、VOLVOのスクエアスタイルが好きになって将来VOLVOを購入しようと思い立ち、とてもこの車を気に入っているので、古臭いは一般
論としてです) 。まず外見は曲面が無く、直線で構成されカクカクしている。エン
ジンは
インタークーラーターボ2,300ccなのに、出力は僅かに130psしかない。と言
うか、このエンジンのノンターボモデルも130psである
(上位グレードのCLASSICはハイプレッシャー・
ターボで165ps) 。それでも日本の様な速度規制が入っていないので、これでもメーター読みで200km/h
までは出る。TACKのターボはライトプレッシャー・ターボと言い、三菱TD04タービンを低圧で回し、トルクを稼ぐ為だけに付けられ
ているのだ。よってターボは、アクセルを踏み始めて直ぐから掛かり出
し、僅か2,300rpmで最大トルク23.4kgmを搾り出す (ノンター
ボ130psの場合は2,950rpm/18.9kgm) 。実馬力が無くともトルクがあるので、ダッシュ力は俊敏であり、登坂路でもトルクに物を言わせてグイグイ上れる。感覚
的に、古き良き時代のアメ車の様な出力特性。
全長4,850mmと大柄な車体だが、ハンドルが良く切れ、最小回転半径は僅かに5.0m。普通の車なら確実に切り返しが必要な曲がり角でも、大概一発で曲がれてしまうほど小回りが利く。1,500ccクラスのカ
ローラ並み。ちなみにもっと大柄な車体である960は、なんと最小回転半径が4.8m!ほとんどリッターカー並に小回りが利く。但し、940は車幅が
1,755mmと広いので、それなりに狭い道では注意が必要である。
内装は貧弱でプラスチッキー。目の前にはスピードメーターの横に、同じ大きさのアナログ時計が鎮座する。私がまだ子供の頃の、昭和40〜50年代の車によく見られた装備である。国産車で940を買う値段を出せ
ば、結構豪華装備の最新車が買えるにもかかわらずこの車を購入するのは、余程の好き者では
ないかと思う。当然、私はこれが欲しくて選んだ。カクカクの
VOLVOに乗るのが、子供の頃からの夢だった (前述) から。ちなみに940は97モデルで正規製造車は終了したのだが、全
世界から終了を惜しむ声に押され、最終特別限定車として98モデルが全世界でCLASSIC
ESTATE1,500台、TACK ESTATE400台、TACK SEDANが100台生産された。
うちのはその中の、TACK
ESTATE400台の内の1台である。因みにVOLVO公式記録によると、940
ESTATEの総生産台数は231,677台。うちの限定TACKは全世界の940 ESTATE中、約0.17%しか占めない (940
SEDANは総生産数246,704台なので限定TACKの占める割合は0.04%)
稀少な車である。私がうちの940を契約した97年10月1日に、
940の後継機種となるS・V40が発表された。よって、新車であるが、買った当日にカタログ落ち下してしまった車だ。
97年モデル通常型TACKとの違いは、ボディーサイドに金モールが入り、ホイールがスチールからアルミに変更、前後ウインカーレンズがオレンジレンズからクリアレ
ンズに変更されている。また、通常廉価仕様にはオプション設定のオートマチックデファレンシャルロックが標準装備。因みにTACKとCLASSICの違
いは、エンジンパワーが130ps:165ps、前後バンパーとドアミラーが黒:ボディー同色、リアウイング無し:あり、ウッドパネル無し:バーチウッ
ド、パワーシート無し:あり、シートがファブリック:本革、クルーズコントロール無し:あり、
採用アルミホイールの型違いで15インチ:16インチ、タイヤサイズ195/65-15:205/55-16である。
上記の様に古くさい内装の為、少しでも明るくしようとオプションの木目パネル (レッドウッド:プラスチック製) と、ウッドシフトノブ
(レッドウッド職人削り出し)
、ウッド柄ハンドルカバー&サイドブレーキカバーを装着した。またシートには黒・赤ツートンでVOLVOのロゴ入りオプションウエットスーツ素材シートカバーを装着。真っ黒でプラスチッ
キーな内装が少し華やかになる。
940のカーオーディオはDIN規格ではなく、旧ヨーロッパ規格。よって、カー用品店で売っているカーオーディオにコンバー
トする事が原則出来ない (ミドーから市販されているフィッティングキットを使えばDIN規格のオーディオを1DIN入れる事が出来る) 。純正
オーディオシステムはアルパイン製で、ヘッドユニットはAM・FMラジオ付きカセットテープデッキ。何とパワーアンプが別体式で、スピーカーは6個
(ダッシュボード上にトゥイーター2個、ドア4枚それぞれにフルレンジ)
ある。古臭いシステムだが、流石にアルパイン製だけあり音質は良い。国産車に純正で付いているカーオーディ
オは、例え高級車でも聞くだけしか出来ない様なレベルが多いが、940のシステム
は後付けの高級
システムに匹敵するレベルを
持つ。ヘッドユニットにはCDチェンジャーコントロールが付いていたので、購入時にオプションの6連装CDチェ
ンジャーを付けた。このユニットを使って更に音質を昇華させるべく、日本仕様には設定の無い、欧州・アメリカ仕様の純正グラフィックイコライザー
(これしかこのオーディオデッキに付けられないから) を、インターネットにてアメリカのVOLVOディーラー経由で輸入し、取り付け。更にパナソニックのチューンナッ
プサブウーハ (BL-50) ーを助手席足元に取り付けた。元々のユニットは清涼感のある音だが、グライコと
ウーハーをプラスした事により低音域が強調されてパワー感が上がり、音に厚みが増し
た。尚、後付のパナソニック製チューンナップサブウーハー (BL-50) が14年目にしてとうとう壊れてしまった為、2011年2月に純正オーディオと同じ
メーカーのアルパイン製チューンナップサブウーハー (SWE-1500) へ交換する。またその際のついでに、前部ドア2枚に対してスピーカーのデッドニングを施工した。ウー
ハーの口径が10cm→17cmへ拡大し、また最大出力も50W→150Wとなり、更に最新の音場調整機能も付いている事から、今まで以上にウーハーの低
音域が豊かになった。またデッドニング施工のお陰で、フロントスピーカーからの音圧も目に見えて上がり、こちらも低音から中音にかけての音域が豊かになっ
た。特に940はドアの厚みもあり、鉄板の品質も良く、デッドニング施工には相性が良いと考える。
940は元々スウェーデンの車であるが、日本仕様の車体構成は欧州仕様車ではなく、アメリカ仕
様車を基本にしている。一番の違いが足回り。欧州仕様は山岳路を想定したワインディング走行にも耐えられる硬い味付けの足回りであるが、基本平地のアメリカ向けは柔らかい足回
りになっている。日本の高級車はアメ車のフワっとした乗り心地を参考にしているものが多い為、こちらが日本仕様に採用されたらしい。日本での使用環境
を考えれば、アメリカよりも欧州の方が近いのだが・・・。尚、当時オプションで、ザックス製スポーツサスペンションキットと言う名称にて、欧州仕様のサスペンションに変え
る事も出来たが15万円プラスだった。因みに940より後にデビューしたVOLVO
(850以降) は、時代の流行で欧州仕様の硬い味付けな足回りに変わっている。私は柔らかい足回りでは物足りなかったので、30,000kmを機にダンパーをモンロー (欧州仕様)
のセンサトラックに付替えた。このダンパーは減衰力可変式で、低速域では柔らかく、高速
域では硬めになる。お陰で随分振り回して走っても、十二分に走れる様になった。しかし、元
々私は草レーサーの端くれ (若かりし頃はB級ライセンス取って、ジムカーナに出ていた) 。これだけでは満足出来ずに、細い純正スタビライザーをIPD (アメリ
カ製)
25φアンチスウェーバーに変更。更に、純正オプションのロワーアームスタビライザーを追加 (スタビ3連装) 。フロントストラットにはSAM (スウェーデン製) ストラットタワーバーを装着した。また、欧州車は姿勢をリア下がりに設定さ
れている車が多く、当然940もそうなっている。巨大なリアラゲッジスペースに荷物を積めば更にリア下がりになるため、リアスプリングをIPDのオーバーロードコ
イルと言う強化スプリングに変更 (純正+20%増しバネレート) 。空荷状態で車体を水平になる様にした。また純正のタイヤはミシュラン・パイロットの195/65
-15だが、BWA (イタリア製)
JARAMAの17インチアルミホイールにダンロップのル・マン225/45-17を履かせた。これにより足回りはスポーツ車並に引き締められ、実際にコーナリングでは走り屋の車にも結
構対抗出来る。タイヤの空気圧は扁平率45%と言う事もあり、バースト対策で2.5kPaに調節し、これ以下にならない様3ヶ月に1度は確認している。
128,000kmを機に、へたって来たダンパーを同じモンローの後継機種であるリフレックスに変更。センサトラックが減衰力2段可変式なのに対して、リフレックスは減衰力3段可変
式。低速域でもダンパーへの入力が速い場合は、ダンピングが硬めになる。高低差のあるヘアピン低速ワインディングコーナー等でも、しっかりコントロー
ルしてくれるので更に戦闘力が上がった。
乗り心地について、VOLVOは940に限らず乗り心地がとても良い。それはシートの出来が非常に良いからである。ただの椅子として作るのでは無く設計から整形外科医が
関わり、如何に疲れないか、衝突時の安全性 (鞭打ち症の回避や車外飛び出し防止等) を考慮して作られている。今までに、1日での最長距離は名古屋から仙台
まで往復1,500kmを走った事があるが、その間殆ど座り続けている状況でも苦になる事は無かった。因みに欧州車は他のメーカーでも、例え廉価車でもシートやサスペン
ションについては手抜きの無い作りをしている。国産車の場合、どちらかと言うと見栄え重視でそちらにはお金を掛け、それ以外の部分でコストダウンするから座
れれば良いみたいなシートが多々あるし乗り心地もあまり良く無いなんて言う車もあるが、欧州人はその辺りはシビアに評価する様で、欧州車は内外装よりも
シートやサスペンションにお金を掛けている。文化や国民性の違いが車作りの違いとして出ている部分だと思う。
940は後輪駆動車であるが、雪国スウェーデンの車らしく、雪道をものともしない。と言うのも、駆動輪にオートマチックデファレンシャルロック機構が付いているのだ
(注:全ての940に付いてはいない。廉価グレードのGLやPOLAR、TACKはオプション扱いだったので、基本的に付いて無い車が多い。最終限定車の
TACKのみ、廉価グレードながら標準装備) 。これは何かと言うと、通常駆動輪が滑った場合、
車のタイヤは滑っていない方のタイヤに駆動力を掛けない。両輪に同じ回転数で駆動を掛けてしまうと、タイヤの内輪
差で車が曲がれないからである (タイトコーナーブレーキング現象) 。四輪駆動が雪道に強いのは、前後どちらかの片輪が滑っても、滑っていないもう一方で
駆動を掛ける事が出来るから走れるのである。雪道やオフロード等、路面摩擦が少ない所ならばある程度タイヤが空回りする為、タイトコーナーブレーキング
現象は起こらない。で、オートマチックデファレンシャルロック機構は車速
30km/h以下で片輪が滑った場合に、滑っていないもう方輪
へも駆動を配分する。お陰で、雪の日に坂道で動けなくなった同じ後輪駆動のクラウンやマークU、AE86なんかを尻目にうちの940はスイスイ登って行ってしまう
(但し、当然ながらスタッドレスタイヤ装備は必修) 。私は転勤族で一時期金沢に住んでいた事もあるが、基本的にスタッドレスタイヤのままで普通に過ごせた。冬場何度も大雪に見舞われたのだが、その時は940に乗っていて良かったとつくづく思ったものだ。チェーンを付けたのはバンパー付近まで雪に埋もれた時くらいだが、そんな中でもチェーン装着で走ってしまえる程両輪に駆動が
しっかり掛かる。他にも冬装備はしっかりしており、ヒーターの出力はとても強力。寒い日でも、調整をヒーター側1/3程で風力最弱にして丁度
良いくらい。また前席二脚にシートヒーターが内蔵されていて、背中からお尻に掛けて暖かくなる。日本では余り見かけ
ないが、二本指の手袋 (親指・残りの指で一本) でも運転出来る様設計されている為、ドアノブが国産車には無い独特な形状を
している。その為、他人を940に乗せると、初めて乗る人は降りる際にどうやってドアを開けたら良いのか分からず慌てられる。尚、冬場はタイヤを純
正アルミホイールに、スタッドレスタイヤ (純正サイズ) を付けて使用している。今までにスタッドレスは使った順番にグッドイヤー、ミシュラン、ファルケン、ピレリと来たが、
グッドイヤーが今までの中で一番雪道での安心感があり、また耐久性も良かった為、現在はグッドイヤーICE NAVI
NHを使っている。ちなみに、スタッドレスタイヤの空気圧は、普段使いで腰砕けにならない様2.5kPa、雪が降っている時は2.2kPaに調節している。
その他に使い勝手で良い点を上げるならば、やはりラゲッジスペース。VOLVOと言えばSEDANよりもESTATEが人気なのは周知の事実であるが、何故そうかと言えばラゲッジルームが広く、スクエアなスペースが
他社のESTATEよりも秀逸だったから。特に私は、940シリーズまでのラゲッジスペースはとても使い勝手が良いと思う。それはなんと言っても広大なラ
ゲッジスペースに尽きる。2,000年代のVOLVOは車の形が丸くなってしまったが、その為にラゲッジスペースのサイドガラスから上辺りに多くのデッド
スペースが出来る。スクエアボディーの940は、ラゲッジスペースの側面から上方へ掛けてのデッドスペースが少なくて、最大限荷物の積載が可能である。またリアシートを使ったままでの積載時に荷物が後部席へ雪崩れ込まない様に、天井から後部席ヘッドレストに掛けての空間を遮断するスチールネットが標準装備さ
れている。後部席を倒せば身長180cmくらいの人間が縦に寝そべられる程のスペースが出来、更に助手席を前に倒せばカタログ写真にある様にサーフボードも車内に積めてしまえるスペースを有している。900シリーズ以
降、850、V70への変遷で、ラゲッジスペースの全長が少しづつ短くなっているし、更にシャーシが小さいV40、V50、V60は更にラゲッジスペー
ス容量が少ないので利点として是非挙げておきたいと思う。
940の難点だが、これは940と言うよりも外車一般に言えるのだがゴム類とプラスチック部品が弱い。と言
うか、日本製の品質が物凄く良いので弱いと感じるのか・・・。ゴム類ではウインドウシール、ドアモールの剥がれ。プラスチック
部品で爪を使って止めるタイプだと爪がよく折れる (今までにはルームランプやスピーカーカバー、室内ドアノブ取付目隠しカバーの支持部)
。またサンルーフのレールガイドがプラスチックな為、サンルーフの開け閉めを頻繁
にするとガイドが折れ、サンルーフが動かなくなる。サンルーフについては、購入から平成22年現在までに3回修理した。
あと、電装関係のハンダ剥がれがたまにある (下記メーター基盤の件)
。それでも電装系は、他の外車よりも故障は少ない方で日本車並。何故ならば、940の電装系は日本のデンソー製だか
らである。後は上記しているが、カーオーディオが、一般品と互換性が無く換えられない事くらいか。
外車の弱みとして、ATがよく挙げられる。欧州車はその多くがフランスのZF製を採用しており、これが日本の交通事情にマッチしていなくて
(短距離の使用が多い上に渋滞が多い) よく壊れるのだが、940のATは日本のアイシン精機製で
ある。当時のトヨタ・マークUやハイエース辺りに使われていた物と同じATなので、信頼性は高い。
エンジンはとても丈夫であ
る。設計年次の古いSOHCエンジンは肉厚がたっぷりある上に、そんなにパワーも無いので消耗度合いが少ない。通常はプラグとオイル
(ずっとモービル1を愛用で、新車から暫くはラリー・フォーミュラ5W-50、現在はレースプルーブン0W-40を5,000km毎に交換、ATFは40,000km毎に交換) を換えるのみで、特にノーメンテで2016年1月1日現在
166,961kmまで来ている。
他に消耗品交換は過去2回、5年くらいでサーモスタットが逝くので交換したの
と、ベルト類の交換 (タイミングベルトは国産車なら100,000km交換だが、940は60,000km交換が指定されている)
、85,000km時に量が減っていたのを機会にステアリングフルード交換、プラグコード (3回)
やバッテリー (3回) 、ブレーキパッド (3回) 、ブレーキローター (1回) 、マフラー (2回) 、夏タイヤ (5セット)
、スタッドレスタイヤ (3セット) 、ゴムブッシュ類は各種適宜の交換。と言う事で、今までに消耗品が逝った事によ
り一時的な不調にはなった事があるが、エンジ
ンでは本当の意味で壊れた事は今まで無い。因みに940でよく聞く故障で、吸気系の各種センサートラ
ブルによるエンジン不調が有るが、うちのは今まで全く無い。自論なのだが、エアフィルターのメンテナンスをキッチリし
ていれば、センサー類が汚れの堆積等で不調になる事は無いのではないかと思っている。電装系ではメーター基盤のハンダが12年目にして剥がれ、スピード
メーターが動かなくなった為基盤を交換。154,765kmで何十回に1度程度で、ブレーキペダルを踏んだ時にスーッとペダルが沈み込んでいく現象が起き、
マスターシリンダーを交換。167,332kmで運転席のパワーウインドスイッチが故障しパワーウインドが動かなくなったため、スイッチを交換した。
エンジン以外、ボディーも頑丈で
ある。今のクラッシャブルタイプな衝突安全ボディーと違い、上に10台積んでも潰れないなんてCMを流していた頃の車体である。ドアの厚みがたっぷりあり、まるで冷蔵
庫のドアの様。このしっかりした車内で包まれる事に慣れてしまうと、国産車に乗った際に車が薄くて怖いと言う気分にすらなる。今までに追突した事1度、追突された事1度ある
が、こちらはバンパーに傷が付く程度で済んでも、相手の車 (国産車) はグシャっと潰れた。何だか、装甲車にでも乗っ
ている様な気分になる。因みにエンジン・ボディーを含めてボルボ社では、自社の車の平均耐用年数は21年と言っている。
その他付加部品として、点火系では永井電子ウルトラシリコンコード、スーパーボルテージキーパー・タイプA。吸気系はJR (フランス製)
高効率エアフィルター、IDATEN (吸気の静電気除去フィルター)
。燃料系ではマグチューン。電装系ではヘッドライト・フォグライトバルブをフィリップスの高効率バルブに変更。エーモン・電圧計装着。東京自動車エンジンにてオーダーメイドアーシング施工。外装では純正オプションのスノーキャップとSAMリアウイングを、純正色クラッシックレッドに塗装して取り付け。限定品の
VOLVOエンブレムグリルバッジ装着。後部ドア以降のウインドウにグリーンミラーフィルム
施工。純正オプションのラゲッジ・トノカバー装着。カーナビはポータブル型のPanasonic KX-GT30Xを装着している。
あと一つモディファイだが、940のフォグランプは、標準では何故かハイビームの時しか点
かない様になっている。欧州との法律違いの為か?このままだと使える場面が少なくなってしまうので、配線を挿し変えて、スモールランプと同時点灯可能な
様に変更した (簡単な変更で、ディーラーに頼んでも5分で出来る) 。因って、スモール、ロービーム、ハイビーム時なら何処でも点灯・消灯出来る様になっている。
色々と省燃費グッズを取付けてはいるが、街乗りで7km/L台、高速道路では120km/h巡航で8〜9km/h。100km/h巡航なら11km/h
前後である。排気量がそんなに無い割には燃費が悪い。こう言ったグッズを付ける前は、街乗りで下手をすると5km/h台まで落ちる事があった。ちなみにガソリンタンク容量は75Lと
大容量であり、航続距離も700km近く走れるのだが、リザーブが5Lしかないので、直ぐに給油出来ない高速道路上等で給油ラ
ンプが点くと、ガス欠の恐れがある。要注意!尚、ガソリンは新車時からずっとハイオクを使用している。本来はレギュラーガソリン
仕様だが、日本のレギュラーガソリンが大体90〜92オクタンなのに対してヨーロッパは95オクタン。JIS規格上では89オクタン以上となっている
為、無印GSでは安いけど、低いオクタン価のレギュラーガソリンを販売している場合も
あったりする。その様なガソリンだと本来の性能を発揮出来ない為、敢えてハイオクガソリンを使っている。
◎
オーナーの一口インプレッション
130psでも空飛ぶレンガの通り名は伊達じゃない!
最後にTACKと
は、スウェーデン語で『ありがとう』の意である。240の最終限定車にもTACKの名が付いているのだが、差し詰め最後なので、『ご愛顧有難うございました』と言う意味でしょうかね。
VOLVOの歴史についてはこちら→☆
CATALOG SPEC DATA/VOLVO 940 TACK
ESTATE
・エンジン形式 水冷4ストロークインタークーラー付ターボチャージャーSOHC8バルブ直列4気筒VOLVO B230FK
・型式名 E-9B230W
・総排気量 2,316cc
・ボア×ストローク 未公表
・最大出力 130ps/4,900rpm
・最大トルク
23.4kg・m/2,300rpm
・圧縮比 8.7:1
・トランスミッション 4速オートマチック
・全長 4,850mm
・全幅 1,755mm
・ホイールベース 2,770mm
・トレッド前/後 1,470/1,460mm
・最小回転半径 5.0m
・車両重量 1,480kg
・燃料容量 75L
・オイル容量 4L
・10モード燃費 7.9km/L
・サスペンション(前) マクファーソンストラット
・サスペンション(後) 5リンクコンスタントトラック
・ブレーキ前輪 ディスク
・ブレーキ後輪 ディスク
・前後タイヤサイズ 195/65-15
最後に、これら外車と付き合って来て思う所は、外車は直ぐ壊れるとか、壊れて
当たり前だとかって言わないでほしい事です。壊れると言う事の解釈の違いかな?ここまでのインプレッションを読んで頂いた方は分かって頂けるかと思います
が、消耗品をしっかり交換し、普通
にメンテナ
ンスさえしていれば、うちの愛機達は年数経とうが長距離だろうが調子良く走ってくれています。消耗品はその名の通り消耗するのだから、その内逝って当たり
前。消耗し切る前に換えておけば問題ない。それに対して壊れると言うのは、製品の品質不良や組立て不良で、予期せず作動不能に陥る事と言ったら良いのか。
そもそも日本人が作った国産車とそれ以外の国の人が作った外車は、元々大きな違いが有ります。その国の国民性、文化、気候、風土、環境、技術力etc。
先ずその中で、日本の国産車は世界一と言って良い程高性能だと思います。それは四季(高温から極低温、多湿)に対応出来る性能を有し、短距離使用や渋滞、
場合によっては非舗装路も有る環境でも走れ、車検以外では殆ど整備をしない(自分からメンテナンスしない)でもちゃんと走る車両を作っているのは日本くら
い
なものではないでしょうかね。日本の使用環境は想定される幅が広く、世界の中でもとても過酷だと思うのです。そんな中で高性能を発揮している国産車とその
他外車を比べるのは、そもそも間違いだと思うのです。外車は高いんだから壊れない様に作って当たり前と言われても、外車はその自国で使うのには何ら自国民の間で問題なく使われている訳で。高い
分も、どちらかと言えば輸送費や、日本の法律に合わせる為の改造代が余分に掛かると言う理由が大きいと思います。まぁ、中にはメーカーのブランド代も上乗
せしている所も有りますけどね。
外車は先ず、消耗品は耐久性が国産車と違って余り無い(特にゴムやプラスチック、ベルト系)のでどんどん短期間・定期的に換えて行くのが当たり前(海外
では車検制度採用国が少なくって、又は有っても日本と比
べると内容が簡素だったりする為、メンテナンスは自己責任が多い)と思って下さい。消耗品の耐久性は国産品の半分か、生産国によってはそれ以下と思ってほ
ぼ間違いないです。例:タイミングベルト/日本100,000km:スウェーデン60,000km:イタリア:30,000km。消耗品をケチらな
い事。
キャブを使っている欧州車ならば、日本の夏場の
高温多湿と梅雨時の多湿
は現地の気
候に比べて日本の気候が過酷(欧州は殆どの地域が1年を通して緩い温暖で湿度がとても低い)なので、調子がイマイチに感じてもおかしくないから自分で微調
整するとか(インジェクション車でも、最近の日本の超高温多湿な
夏場では電子制御のマップ範囲が間に合わず不調になる事もある)、道路環境が異なるのでギア比が合っていなくて走り難いと感じる車両も有ったりする(欧州
の多くの国では、何と50cc以上から高速道路を走れるし、短距離使用や渋滞が少ない為、ギア比が高い設定の車種が多い)訳で、ギア比
を変更出来るならば変えれば良いし、そうでなければ走り方(ギア選択)を考えるとか。兎に角、国産車と同じ様に考えない事が大切だと思います。特にキャブ
車(旧車)乗りの方は、簡単な調整
法方(エアスクリューとアイドルスクリューの調整)くらい自分で出来る様に覚えましょう。
あと使用す
るガソリンですが、自分は基本欧州車にはハイオクガソリンを推奨します。ディーラーで、「これはレギュラー仕様ですからガソリンはレギュラーで良いです
よ」と言われる事がありますが、欧州のレギュラーガソリンと日本のレギュラーガソリンはオクタン価が違います。欧州のレギュラーガソリンは95オクタン、
日本はJIS規格上は89オクタン以上。大体国内メーカーガソリンは90〜92オクタンらしいのですが、メーカー名を出していない無印スタンドの安売りガ
ソリンだと、混ぜ物で下手すると89オクタンを切るガソリンが売られていたりする事があります。点火時期を電子制御するエンジン搭載車ならば、ノックセン
サーで「取敢えず低オクタン価でも走られる様に調整」してくれますが、本来の性能を発揮出来ません。点火時期を電子制御していない車両では、それこそエン
ジン
の調子が悪くなります。なので、ケチらずにハイオクを入れましょう。
国民性的にも、日本人は全てに細かい事を気にしがちだけど、ラテン系は見た目に美しければ、その他有る程度の事は気にしないし、ドイツ系は日本人に近く
て高性能車を作るけど、より複雑な機構を好みそれでメンテナンス性が悪かったり耐久性を落としちゃうとか、イギリス系は愛車をとても大切にしていて自己メ
ンテナンス大好きで、壊れたら直すのを生き甲斐にしちゃう人が多いだとか。そう言う国で作られて来たバイクや車だと思えば、自分の気にし過ぎな部分も分
かって来るのではないでしょうか。
とまぁ確かに国産車と比べると欧州車は総じて消耗頻度が高い分お金も掛かるけど、そこは昔と違って今な
らばインターネットで海外から円高で安くなったパーツを個人輸入も出来るしね。私の場合は、ディーラーの価格と個人輸入価格を比べて、安い方を選んで購入
しています。又は、絶版車で日本国内ではパーツが欠品していて、海外を頼らざるを得ない時も有ったりしますしね。外国語なんて全く出来ないけど、翻訳ソフ
ト任せで何とか出来てしまっていて、いつもアメリカやイギリス、オランダ、スウェーデン辺りからパーツを個人輸入していますよ。その辺りを理解して日本に
合わせた扱い方をすれば、調子良く楽しい外車ライフが送れると思います。ほったらかしにせず、可愛がってあげて下
さいね。
それではここを読んで下さった皆様にも、より楽しい外車ライフが送られる様、心よりお祈り致しております。長文お読み頂き有難うございました。
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